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[オピニオン]韓国、ベネチア、美術映画

[オピニオン]韓国、ベネチア、美術映画

Posted May. 12, 2015 07:21,   

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美術を絵画や彫刻でなくインスタレーション(設置美術)が主導して長い。いつからか、薄暗いところで辛うじて見える映像作品も多くなった。その最初の形は、白南準(ペク・ナムジュン)が創始したビデオアートだ。最近は、ビデオアートを越え、映画に近い作品も多い。いつか映画と美術の区別がなくなり、イタリアのベネチア国際映画祭とベネチア・ビエンナーレも別に開く必要がない時が来るのではないか。

◆イム・フンスン監督のドキュメンタリー映画『Factory Complex(慰労工業団地)』が9日に開幕した今年のベネチア・ビエンナーレで、銀獅子賞を受賞した。ベネチア・ビエンナーレには、最高賞に金獅子賞があり、その次に銀獅子賞、特別賞がある。韓国人では、全寿千(チョン・スチョン)、姜益中(カン・イクチュン)、イ・ブル氏が、それぞれ95年、97年、99年に特別賞を受賞したが、銀獅子賞は初めてだ。美術界で活躍する作家でなく、映画界で活躍する監督が受賞したことは驚くべきことだ。

◆イム監督の作品は、アジアの女性労働者に対するインタビューとファンタジー的な映像が結びついている。インタビューに注目するならドキュメンタリー映画であり、映像に注目するなら美術といえる。ユーチューブでは、かつら工場の様子を見せる2分間の映像だけだが、かつら工場の客観性をファンタジーと結びつけて見せる感覚はすばらしい。テーマ意識も重く、九老(クロ)工業団地から消えた場面をベトナムやカンボジアの工場を通して見せることで、アジアの女性労働者が時代差を置いて体験する共通の経験を浮かび上がらせた。

◆美術としての映画は、商業映画と芸術映画を分類する時の芸術映画とも異なる。先日、韓国でシャネルの韓服ショーを開いたカール・ラガーフェルドは、ファッションショーだけでなく映画も作る。むろん、それは商業映画でも芸術映画でもなく、美術としての映画、あるいはファッションとしての映画だ。そう見ると、美術と映画の境界はまだ確定していない。この不明瞭な境界地帯で韓国の作家が世界的に認められたことは大きな喜びだ。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com



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