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[オピニオン]社会的経済基本法の毒素

Posted April. 23, 2015 07:24,   

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自由主義経済学者のフリードリヒ・ハイエクは、氏の著書「致命的な思いあがり」の中で、「社会的という言葉は、イタチのような言葉(weasel word)だ」と記した。イタチが卵の表面は残して中身だけを吸い取るように、「社会的」という言葉が修飾する名詞は、何の異常もないように見えるが、その中身は跡形も無く消えるという意味だ。政治圏の一部で立法を進めている社会的経済基本法について、クォン・ヒョクチョル博士は、「社会的という言葉が修飾する経済は消え、政治が取って代わり、社会主義的統制経済の変形か、官治経済の復活に過ぎないだろう」と批判している。

◆与党セヌリ党の劉承旼(ユ・スンミン)院内代表と最大野党新政治民主連合の申溪輪(シン・ゲリュン)議員がそれぞれ発議した社会的経済基本法は、社会的企業や協同組合、町営企業などの社会的経済組織を政府が支援し、育成する内容がその柱となっている。大統領直属の社会的経済委員会を立ち上げ、基金を造成する内容も盛り込まれている。社会的経済とは、協力や連帯などの社会的価値を追求する経済活動を指しているが、先進諸国でも明確な概念が確立されていない。

◆この法が制定されれば、政府や政治圏は市場や個人の自由に介入して、人為的に資源配分を行うことが法で保障される。中央や地方政府が友好な集団に恩恵を与えることもできる。車基煥(チャ・ギファン)弁護士は、「委員会や研究院の設立、公務員や準公務員の拡大、政治家の予算配分を巡る影響力の拡大を招くことになるだろう」と懸念している。組織の参加者たちのモラルハザードをあおり、運動圏勢力の生計維持の手段に転落する恐れも少なからずある。「経済学の父」といわれているアダム・スミスは、「私は公共の善のための事業をする振りをする人たちが成し遂げたよいことについて、あまり知らない」と話した。

◆劉院内代表と申議員は来月6日に期限切れとなる臨時国会で、法案を可決させることに合意したが、与党内でも批判が少なくない。議論の多い法案を推し進めながら、「私は院内代表だから、党の意見でもある」と主張するのは独善だという声も聞こえてくる。数多い毒素条項をはらんでいて、国家経済に大きな害悪を及ぼしかねない法を、このまま可決させてはならない。

権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com