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[オピニオン]テポ通帳時代の本物の通帳開設

[オピニオン]テポ通帳時代の本物の通帳開設

Posted April. 06, 2015 07:14,   

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その発端は自宅のどこからか出てきた郵便局通帳だった。「顧客番号◯◯◯◯◯◯−☐☐☐☐☐☐☐。新規開設日は1999年、△月△日。残高は10ウォン」。変だな、一度も通帳を使ったことが無いのに。わずか10円玉一つを手に通帳を作ったはずもないし…」。知人からの頼みだったのかな?相当前のことだから、なかなか思い出せない。

◆通帳を16年ぶりに解約しようと、お昼の時、会社周辺の郵便局に出向いたついでに、新しい通帳を一つ作ることにした。ところが、窓口の職員が結構うるさい。ジャンパーを引っ掛けた私の身なりに一通り目を通した後、通帳を作る理由が何なのか細かく聞いてくる。はっと、「引退に備えて、これからは妻には内緒で、小遣いを貯めようと思っている」とでも打ち明けるべきか。自分の金を預けようとしているのに、感謝の挨拶どころか開設の目的を書かされるなんて…。私が戸惑うと、職員は善を施すかのように、「通帳開始及び新規開設」と書くようにと言ってきた。「最近はテポ通帳(犯罪に使うための第三者名義の通帳)が多いためだ」と了解まで求めながら。

◆「ずいぶん長く取引していないので、10ウォンは国庫に帰属されたものの、ご希望なら戻してもらえる」と言われ、喜んで国に献納すると答えた。身分証のほか、社員証までを求められ、コピーするよう差し出し「絶対、他人には通帳を渡さない」という念書にまで署名しなければならなかった。にわかに犯罪容疑者扱いをされたような気がしてすっきりしない。後になって分かったことだが、郵便局だけのことではない。政府が犯罪の温床となっているテポ通帳との戦いに乗り出したため、全ての金融機関での通帳開設が厳しくなった。

◆金融監督院によると、昨年、振り込め詐欺などで摘発されたテポ通帳は4万4705件と、昨年の3万8436件より16.3%も増えた。テポ通帳に頻繁に悪用されているNH農協銀行は、通帳開設時に金融取引目的の確認制度を実施した後、全体のテポ通帳で占める割合が、昨年3月の20%から今年2月は2%に減ったという。だから、少々不便とはいえ積極的に協力するのが、犯罪予防のために必要な気がする。街頭には、「テポ通帳、テポ車、テポフォンを根絶する」という警察の垂れ幕も掲げられている。外国で暮らしてみれば、韓国ほど通帳やカード作りが容易な国も珍しい。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com