Go to contents

[オピニオン]ホン・ガヘの真実と偽り

Posted March. 26, 2015 07:32,   

한국어

ホン・ガヘ氏が旅客船「セウォル号」沈没事件当時、「民間潜水士と偽った人」になったのは、放送作家からの「民間潜水士ですか」という質問に「はい」と答えたことが発端となった。ホン氏は、自分は民間人で潜水もできるから、思わず民間潜水士と答えただけだった。ホン氏が放送インタビューで「セウォル号の中にいる生存者たちと交信した」と述べたのは、他の潜水士から聞いた話を、虚偽とは認識せず伝えただけだった。海洋警察庁に対する名誉毀損の疑いで起訴されたホン氏が今年1月、裁判所で無罪を言い渡された理由だ。

◆ホン氏は以前も有名アイドルのいとこと偽るなど、常習的な嘘つき(虚言癖)だと主張する報道が相次いだが、裁判の過程で事実無根であることが確認された。ホン氏は無罪を言い渡された後、「たった10分間の放送インタビューが、私の27年間の人生を変えてしまった」と無念を訴えた。ホン氏は拘束され101日間の収監を強いられた他、インターネットでは猛烈な非難を浴びた。

◆ホン氏の復讐が始まった。自分を非難する内容の書き込みをしたネットユーザー約800人を、侮辱(名誉毀損)の疑いで訴えた。大量の告訴状が受け付けられ、第一線の警察署と検察庁の業務に支障を来たすほどだ。告訴の取り消しを条件とする、当事者間の合意もなされている。世間知らずの子どもが載せた書き込みのため、親が示談に出る場合もある。示談金は少なくとも200万ウォンを超えるという。800人から200万ウォンずつ受け取ったとしても16億ウォンに上る。

◆ホン氏は確信に満ちた表情で「人のいる音を聞き、デッキの壁を間に挟んでシグナルを確信し、対話も交わしました」と述べた。しかし前後の話を聞いてみれば、他の潜水士の証言を伝えている。ホン氏を処罰するためには、証言そのものが偽りであることを立証する必要があるが、当時セウォル号の内部状況は神のみぞ知るものであり、立証は不可能だ。裁判官がホン氏に無罪を言い渡す時、「被告人の行動に免罪符を与えるものではない」と述べた理由はここにある。無罪は、ホン氏の真実を突き止めたのではなく、偽りを突き止められなかった結果だ。ホン氏としても悔しいところはあるだろうが、告訴のやり過ぎは自粛するのが、最小限の道理だ。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com