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[オピニオン]李完九首相候補と取材報道の倫理

[オピニオン]李完九首相候補と取材報道の倫理

Posted February. 11, 2015 07:29,   

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韓国(ハングク)日報は昨日付けの1面に、「李完九(イ・ワング)首相候補の録音記録公開騒動に関連した自社の立場」を掲載した。李候補は先月27日、記者4人と昼食を共にしながら、マスコミの幹部たちに電話をかけ、自分に関する報道を外させたり、記者の人事に影響を及ぼすこともありうるという趣旨の発言が盛り込まれた録音記録が、野党を経て6日、KBSから報道されたことに関する釈明だった。韓国日報は、自社の記者が当時、食事の席にひそかに録音した李候補の発言を報じなかった。すると、この記者は、録音ファイルを金鍫俠(キム・ギョンヒョブ)新政治民主連合議員室に提供し、金議員室はこれを再びKBSに伝えた。これが李候補のマスコミ統制議論が起きた過程だ。

◆韓国日報は、「当社は、李候補の歪んだ言論観に問題があるとみて、記事にすべきかどうか深刻に検討したが、当時、氏が次男の兵役逃れの疑惑で非常に興奮している状態であり、非公式の席から出てきた即興的な発言だったと判断し、報道を見合わせた」と明らかにした。さらに、「経緯がどうであれ、取材内容が盛り込まれたファイルを丸ごと、相手側の政党に提供したことは、取材倫理に大きく反する行動」であり、「当事者の同意無しに、発言内容を録音したことも、また不適切なことだった」と明らかにした。

◆韓国日報がそれなりの報道基準に基づいて判断したのなら、報道しなかったことで批判することはない。「李候補を保護するために報道しなかったり、彼を意図的に傷つけるために関連内容を野党に伝えたのではない」という釈明は事実かもしれない。にも関わらず、社内で解決されず、政治圏を通って別のマスコミに流れ込んだ過程の中で、社内コミュニケーションや取材倫理及び報道を巡る判断の問題は明快に釈明されていない。

◆今回の波紋は、かつての独裁政権の時代のように、言論を権力で統制できると見ている李候補の間違った言論観から始まった。しかし、メディアも国民に失望を与えたのは事実だ。取材記者と編集幹部との判断が異なっても、内部で討論して異議を申し立てるべきであって、情報を取引する人たちのように行動してはならなかった。社会の公器の役割を果たすためには、言論も留意しなければならないことが多い。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com