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[オピニオン]「宋海を抱いた」趙浚熙の108拝

[オピニオン]「宋海を抱いた」趙浚熙の108拝

Posted February. 02, 2015 07:18,   

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就任の辞は夢で書き、退任の辞は足跡で書く。だから、退任の辞は短いほどよい。過ぎ去った人が成し遂げたことと、残したことについての評価はすでに出ている。趙浚熙(チョ・ジュンヒ)元IBK企業(キオブ)銀行頭取は、2013年末に退任する際、在任中の事故や病気で亡くなった行員らの名前を一人ひとり読み上げながら冥福を祈った。2010年末の就任の時もそうした。内部公開採用による初の頭取として、人間を大事にする姿勢を終始貫いた。

◆趙氏は人事問題にも独自の思想を持っていた。平の行員時代、人事部に勤務しながら「一括人事」を構想した。今も、政府省庁や民間企業は上から下までの人事を、何度に分けて実施している。人事異動の時になれば、職員たちは、長くは1ヵ月近くを、そればかりに気を取られてしまう。予め完璧に準備しておけば、このような弊害を無くすことができる。そういう夢を、頭取になる30年前から持っていた。そして実行した。皆が直らないと言っていた慣行を打ち破ったのだ。

◆趙氏は6年近く、一日も108拝を欠かさなかった。インフルエンザで体調を崩したときも108拝は欠かさなかった。大ヒットした宋海(ソン・へ)氏登場CMも、108拝をする途中にアイデアが浮かんだ。趙氏が、「宋海さんを広告モデルに起用したらどうか」と提案すると、ほぼ全ての役員と職員が反対した。悩んだ末、広告会社に入社した娘に「どう思うか」と聞くと、娘は情け無いという表情をした。しかし、108拝をしながら何日間も切に答えを求めた末に決心した。「企業銀行に預金すれば、企業を蘇らせます…」というキャッチコピーまで考え出し、大成功を収めた。

◆就任の辞で、企業銀行の太宗(テジョン)李芳遠(イ・バンウォン)になると言明した。世宗(セジョン)が朝鮮王朝の基盤を固めることができた背景には父親の太宗がいた。企業銀行を100年、200年間続く「偉大な銀行」を目指す人材が存分に活躍できるよう、人事を巡る不正など良しからぬ慣行を追放するというものだった。氏の著作「宋海を抱く」のキーワードは「切なさ」だ。切に夢見ればかなうことを自ら証明した。

崔英勳(チェ・ヨンフン)論説委員 tao4@donga.com