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[オピニオン]大統領府担当記者

Posted January. 14, 2015 07:12,   

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キューバのフィデル・カストロは、自国と米国の民主主義の違いをこのように述べた。「私はヘレン・トーマス氏の質問に必ずしも答えなくてもいい」。ホワイトハウス担当記者の伝説であるトーマス氏は、第35代ケネディ大統領から第44代オバマ大統領まで10人の大統領を取材した。ホワイトハウスの会見は彼女の質問で始まり、「サンキュー、ミスタープレジデント」という挨拶で終わるのが慣例だった。むろん、すべての大統領が彼女を尊重したわけではない。トーマス氏が米史上最悪だと批判したブッシュ大統領は、ほとんど質問の機会を与えなかった。「イラク戦争を起こした本当の理由は何か」と問い詰める記者はやりにくかったのだろう。

◆「第1号記者」。言論界では大統領府担当記者をこのようにも呼ぶ。大統領を取材するため、懸案への理解が深く力量のある記者が大統領府を担当するためだ。羨望の的だが、現実はたやすくない。大統領府のブリーフィングルームがある春秋館で、主に電話取材をしたり取材源と食事をして権力の動向を把握するだけで、最近は秘書室を担当することは夢に見ることもできない。大統領は、主要行事を担当した時に目にするだけだ。

◆民主化前の政府は、非友好的な記者が大統領府を担当することを事実上許さなかった。金大中(キム・デジュン)大統領は、秘書室への訪問取材を禁止し、メディアが反発すると午前と午後1時間ずつ許可した。大統領府と政府省庁の訪問取材を完全に禁止した大統領は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領だ。記者があまりにも多いので開放型ブリーフィングルーム制度を導入したと言うが、実際は「記者室の封鎖」だった。李明博(イ・ミョンバク)大統領は「盧武鉉色」を消すことに熱心だったが、担当記者の統制は受け継いだ。現政権も違いはない。メディアがやっかいなのはどの政権でも同じことだ。

◆朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が、12日の新年会見で、長官の対面報告を増やすべきではないかと問う記者に、「大統領府を担当しているのに全く分かってない」と述べた。対面報告が行われていないという指摘は、大統領府の内部や与党の一部からも出ていることを大統領は分かっていないのか。ブリーフィングルームとトイレ、大統領府の庭だけ行き来できる「春秋館担当記者」が気の毒だ。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com