Go to contents

[オピニオン]風刺漫画家の血のにじむ暮らし

[オピニオン]風刺漫画家の血のにじむ暮らし

Posted January. 10, 2015 07:14,   

한국어

午前6時に起きて、すべての朝刊新聞に目を通す。新聞の時事漫画の独創的なアイディア、風刺とユーモアの完成度を比べ、勝負を判断する。午前、編集局の製作会議に参加し、重要なニュースをチェックし、最新のユーモア感覚をのがさないために「ギャグコンサート」は必ず見る。チェーンスモークは基本だ。それでもアイディアが浮ばない時は、便座に座って髪をかきむしる。東亜(トンア)日報に30年近く時事漫画「ナデロ(自分どおり)」を描いてきた李泓雨(イ・ホンウ)祥明(サンミョン)大学文化芸術大学院教授の回顧録「自分どおりに行く」の一部だ。

◆風刺漫画家の主な風刺対象は政治権力だ。風刺漫画家は、真実への情熱と勇気、鋭いニュース感覚、これを盛り込むことができる表現力と芸術感覚を備えなければならない。風刺漫画家の暮らしは血のにじむアイディアとの戦いだ。風刺漫画家が記者と異なる最大の点は「面白さ」まで備えなければならないことだ。強力なメッセージをウィットのきいたワンカットの漫画に盛り込み、批判の対象までも笑わせなければならない。

◆ムスリムのテロ銃撃で死亡したフランスの風刺週刊紙シャルリー・エブドの風刺漫画家の暮らしが注目されている。彼らの批判対象にはタブーも限界もなかった。政治権力者は言うまでもなく、カトリック、ユダヤ教、イスラムなどの宗教も例外でない。以前からテロ脅迫を数回受けてきた編集長で風刺漫画家のステファン・シャルボニエ氏は、「ひざまずいて生きるより、立ったまま死ぬほうがいい」と言っていた。まるで死を予見していたかのように。

◆風刺漫画家がタブーに迫り、痛快な一撃を浴びせる時、権力者は憤り、読者はカタルシスを感じる。風刺対象との緊張関係は、彼らが負わなければならない宿命だ。連日、新聞の風刺漫画の攻撃的な風刺で苦しんだ英国のチャーチル元首相は、「あいつらがいなければいいのに」と悔しがった。しかし、首相を辞任して1ヵ月も経たずに風刺漫画から消えると、チャーチル元首相は回顧録で、「風刺漫画に出ない政治家は政治生命が終わった」と書き、風刺漫画の対象になった頃を懐かしがった。風刺とユーモアは砂漠のオアシスのような存在だ。シャルリー・エブドに対するテロは自由な言論と風刺漫画の価値を呼び覚ましてくれる。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com