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[オピニオン]ガラスのコップのように壊れやすい失業家長

[オピニオン]ガラスのコップのように壊れやすい失業家長

Posted January. 08, 2015 07:29,   

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自殺する人はためらう。多くの人が一気に命を絶つことができず、何度も自殺を図っては失敗し、最後に致命傷で死ぬ。この時、致命傷ではない傷を「ためらい傷」という。瑞草(ソチョ)で妻と娘3人を殺害した犯人のカン容疑者(48)の手にも自殺をためらった傷があった。妻と2人の娘を首を絞めて殺害したが、自分は死ぬ勇気がなかった。

◆カン容疑者は、「延世(ヨンセ)大学経営学科卒業、コンピュータ3Dデザイン会社部長、江南(カンナム)に11億ウォン代のマンション保有、ホンダのアコード保有」という自分のアイデンティティを簡単に捨て去ることができなかったようだ。3年前、働き盛りの年齢で失業し、マンションを担保に5億ウォンの融資を受け、毎月400万ウォンの生活費を妻に渡したのも、考試院に行きながら出勤するふりをしたのも、妻が失業に感づいた後も娘たちには秘密にしたのも、同窓会費として毎年30万ウォンを払ったのも、全てそのためだったのかも知れない。

◆カン容疑者は再起をかけて株式投資をし、2億7000万ウォンの損失を出した。カン容疑者の本当の危機は、株式投資の失敗で職場に通うふりをすることすら難しくなった状況から始まった。娘たちにも両家の親にも同窓にも隠すことができなくなった瞬間が来たのだ。カン容疑者は遺書に「行き着く所まで来た」と書いた。失業状態での2億7000万ウォンの損失は非常に大きいが、最後は経済的というよりも心理的である。11億ウォンのマンションを売って5億ウォンの融資を返済し、通帳にある1億3000万ウォンを加えれば、まだ7億3000万ウォンが残る。

◆カン容疑者は妻と2人の娘を殺した後、車に乗ってマンションを出た。忠清北道清州(チュンチョンプクト・チョンジュ)に到着し、119安全センターに電話をかけて、「妻と娘を殺した」と自ら通報し、玄関のドアのパスワードまで教えた。行くあてもなく高速道路をただ走り、慶尚北道聞慶(キョンサンプクト・ムンギョン)で検挙された時、自分がどこにいるのかも分からなかった。映画『国際市場』の雑草のような家長とは異なるガラスのコップのように壊れやすいこの時代の家長の姿を見る気分は重苦しい。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com