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[オピニオン]ソニーピクチャーズが手を出した最高尊厳

[オピニオン]ソニーピクチャーズが手を出した最高尊厳

Posted December. 19, 2014 03:03,   

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過去、王朝時代は王の名前を避ける忌諱の風習があった。王など身分の高い人の名は勝手に呼んではならないと思われていたのだ。忌諱は無くなったが、忌諱を生んだ心理は残っている。大統領を題材にするドラマや映画は、米国であれ、韓国であれ、それがはじめて出てきた当時は、相当気を使っていた。そして依然として、現職の大統領を取り上げるドラマや映画は、容易には作られていない。

◆北朝鮮で金正恩(キム・ジョンウン)は、最高尊厳と呼ばれている。尊厳とは、ラテン語でアウグストゥスだ。古代ローマ初の皇帝が、アウグストゥスという呼称を手にした。聖アウグスティヌスは、初期のキリスト教の代表的教父哲学者の名前でもある。フランスには、尊厳王フィリップ(フィリップ・オーギュスト)と呼ばれた偉大な王がいた。北朝鮮は、尊厳だけでは足りなかったのか、最高という修飾語をさらにつけた。最高尊厳とは、我々のやり方からいえば至尊だ。そのような単語は、武俠小説的な想像の中の極めて非現実的な英雄につける単語だ。

◆北朝鮮の最高尊厳の暗殺を扱った米コメディ映画「インタビュー」の劇場での公開が白紙となった。「平和の守護者(GOP)」という正体不明の集団が先日、「09年の9月11日を思い出せ」と脅かすと、各映画館が上映を諦め、結局、映画制作会社のソニーピクチャーズは公開計画を撤回した。先月、GOPのソニーへのハッキング当時に使われた悪性ソフトウェアから、ハングルコードが見つかったことから、北朝鮮の仕業と見られている。北朝鮮は、最高尊厳の暗殺を扱った映画を、国家への攻撃、または冒涜と受け止めているようだ。

◆映画の名前とイメージは、妙な呪術的力を持っている。自国の指導者が暗殺される映画に対しては、どの国も拒否感を見せるものだろう。映画の質はともかく、制作したものを、テロの脅威に屈して上映しないことは、また別の問題だ。ドイツは、ムハンマドの似顔絵を描いたデンマークの漫評家・クルト・ベスタゴーに欧州で自由のお手本として言論賞を与えている。米作家・ティモシースタンレーは、CNNへの投稿文で今回のことについて、「米国の表現の自由がゴミ同様の評価を受けた映画によって試されているのだ」と論評した。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com