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[オピニオン]シン・ウンミ氏の本が「優秀図書」に選ばれた理由

[オピニオン]シン・ウンミ氏の本が「優秀図書」に選ばれた理由

Posted December. 17, 2014 03:37,   

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在米韓国人のシン・ウンミ氏が、北朝鮮寄りと取りざたされているトークコンサートを巡り、警察から取調べを受けるために出頭し、「私が口にした言葉は全て、昨年、文化部の優秀文学図書に選ばれた『在米韓国人のおばさん、北朝鮮に行く』に出ている言葉だ」と主張した。われわれが文化部優秀図書と思っているのは、実は優秀学術・教養図書だ。優秀文学図書は少しわけが違う。優秀学術・教養図書は、よい本の出版を振興する狙いのほうが大きいが、優秀文学図書は、本を広く読ませるという読書振興の性格が強い。

◆優秀文学図書の選定は、12年までは韓国図書館協会が担当した。しかし、韓国図書館協会が、図書館の利用率だけを考慮して、ベストセラーのように、よく読まれる本を中心に本を選んでいるという批判が持ち上がると、昨年、その選定権が市民団体の「本を読む社会文化財団」に渡された。この財団のホームページには、財団と連携した市民団体として、文化連帯、韓国作家会議(旧民族文学作家会議)、民主化に向けた全国教授協議会、全国教職員労働組合など、主に左派性向の団体が紹介されている。

◆優秀文学図書は、5つの分野に分けて選ばれるが、シン氏の本は、エッセイ分野で選ばれた。エッセイ分野の選定委員長は、文学評論家のファン・グァンス氏だった。彼は、韓国作家会議・文化政策委員長、民族文学研究所所長を務めた。残りの9人の選定委員の中には、出版社・子音と母音のカン・ビョンチョル元代表ぐらいが知られている。あいにくなことに、カン元代表は昨年、黃鉊暎(ファン・ソクヨン)氏が書いた本の買い溜めを巡る議論で辞任し、その後は、子音と母音の編集委員のファン氏が引き受けて処理した。

◆シン氏の本が、優秀文学図書に選らばれたのは、「本を読む社会文化財団」が昨年、選定作業を主導しなかったら想像すらできないことだ。今年からは、優秀文学図書の選定作業が、優秀学術・教養図書の選定を取り仕切る韓国出版文化産業振興院に組み込まれた。しかし、優秀学術図書と優秀教養図書のそれぞれの11分野にはすでに、文学が一分野として盛り込まれているのに、優秀文学図書をまた、別に選ぶのは、おかしな気がする。優秀があまりにも多ければ、優秀の格が落ちる。文化部が優秀を乱発しているのではないかという気がする。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com