Go to contents

[オピニオン]スキ・キム氏の北朝鮮潜入ジャーナリズム

[オピニオン]スキ・キム氏の北朝鮮潜入ジャーナリズム

Posted December. 11, 2014 08:20,   

한국어

在米作家のスキ・キム氏が書いた北朝鮮旅行記『Without you、there is no us』(ハングル版タイトル『平壌の英語教師』)が、作家倫理をめぐって論議が巻き起こった。同書は、キム氏が2011年に平壌(ピョンヤン)科学技術大学で6ヵ月間、学生に教えた経験を基に書かれた。平壌科学技術大学のキム・ジンギョン総長は、ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、「スキ・キム氏の態度や本は嘘で、本当に腹立たしい。彼女は私たちをだました」とし、「特に大学教授が宣教師というのは誤った主張だ」と非難した。キム総長も、平壌で大学を率いるために困難が多いだろう。

◆スキ・キム氏はブログを通じて自らを弁護した。「記者として北朝鮮を3度訪れた頃、そこに定着しなければ宣伝をするだけで、意味ある文をかけないと感じた。その時、平壌科学技術大学で教える機会があった。私は実名を使い、大学側は私が作家であることを知っていた。秘密遵守の契約に署名したこともなく、文を書かないと約束したこともない。平壌科学技術大学の教授が布教をしていたり、できたりするわけではないが、彼らの目標は布教の橋頭堡を確保することだ」

◆黄鉊暎(ファン・ソクヨン)氏は、1989年に約1ヵ月、北朝鮮に滞在し、『人が生きていた』という訪問記を書いた。北朝鮮が見せるものだけを見てまわった黄鉊暎氏の訪問記に比べて、スキ・キム氏の本は「潜入ジャーナリズム」の事実追求の精神が光っている。キム氏は、賢明にも北朝鮮で唯一の私立大学の平壌科学技術大学の特性を利用することができた。ただ、宣教師云々は、言うべきことと言うべきでないことを選ばず、残念だ。

◆ソ連の作家ソルジェニーツィンは1956年に『収容所群島』を書き、スターリン体制に沈黙した西欧の知識人を恥ずかしめた。韓国では1990年代以降、脱北者の生々しい証言が「収容所群島」のような役割をした。まだ、在米同胞シン・ウンミ氏のように、北朝鮮を何度か旅行して北朝鮮は活気に満ちたところだと主張する人もいる。スキ・キム氏は、北朝鮮のエリート層の子どもにまで抑圧的体制がもたらす無知と不安を鋭く描き出した。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com