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[オピニオン]「尊厳ある死」への悩み

Posted November. 05, 2014 03:08,   

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ギロチンは、フランス革命当時の囚人の首をはねる刑罰の器具だ。恐怖政治の象徴のように見られているが、実はフランスの内科医、ジョゼフ=イニャス・ギヨタン博士が人道的な処刑のために考案したものだ。今日のイスラム原理主義者などの残忍な斬首刑を想起すれば、鋭い刃で一気に首をはねる死刑が当時どれほど人道的と受け入れられたのか、簡単に理解できる。死も恐ろしいが、死に至る苦痛も恐ろしい。

◆現代の医学は生命を延長させたが、どのように生きるのかのほかに、どのように死ぬのかという新しい宿題を与えたことも事実だ。末期のがん患者が家族だった人は、がん患者がどれほど苦しんで死んでいくのか知っている。苦痛が増すにつれてモルヒネの投与量が増え、患者はもうろうとした状態になり、ある瞬間、意識がなくなり、最期を迎える。このような患者の姿を見たなら、愛する人の苦痛を代わってやれない苦しみとともに、誰でも1度は「尊厳ある死」について考えるだろう。

◆米国人女性、ブリタニー・メイナードさん(29)は、フェイスブックに予告した日に医師が処方した薬を飲んで、家族に見守られて亡くなった。脳腫瘍で期限付きの人生を送ったメイナードさんは、証人の立ち会いの下、数回安楽死に同意し、複数の医師の診断を受け、薬を処方された。彼女は、「バケット・リスト」どおりグランドキャニオンを旅行した後、しばらく状態が好転し、死を延期する考えもあったが、病状が悪化すると、予定通りに決行した。生きたくない人はいない。死を決心した時、ベッドで薬を飲む時、その思いはいかばかりか。

◆尊厳死は厳密な概念ではない。韓国をはじめ、多くの国が回復の見込みのない患者に延命措置をしない消極的な安楽死だけを尊厳死と見る。米国やカナダの一部の州とオランダなどの数ヵ国では、患者の同意の下、患者の生命を積極的に断ち、苦痛を解く自発的な安楽死まで尊厳死に含めている。韓国も尊厳死の範囲をもう少し拡大する問題について悩む必要がある。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com