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[オピニオン]かわいい「ラバーダック」

[オピニオン]かわいい「ラバーダック」

Posted October. 17, 2014 03:25,   

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パブリックアートとは、公共的な場所に展示される美術作品を意味する。1985年、パリのポンヌフの橋全体が布で覆われた。ブルガリア出身の美術家・クリスト氏の作品だった。韓国のパブリックアートを代表する作品は、ソウル清渓(チョンゲ)広場にある、カワニナの形をした「スプリング」だ。閉鎖的な美術館から抜け出し、大衆と一緒に楽しみたいという芸術家の積極的な誘いと言える。

◆ゴムで作られた大型アヒルが、ソウルの石村(ソクチョン)湖に登場した。オランダの芸術家、フロレンティン・ホフマンが製作したパブリックアート作品「ラバーダック(Rubber Duck)」だ。このアヒルは世界的に有名で、07年から様々な国を巡回しながら観客を集めている。ラバーダックのチャームポイントはかわいさだ。ラバーダックは頭と体が半分ずつの2頭身だ。動物キャラクターを製作するときに、頭を大きくし、体を小さくするとかわいいイメージは倍増する。ここにアヒルの顔のラインを丸くし、目と目の間を離して、かわいい魅力をより生かした。

◆最近、かわいいモノブームが起こっているといっても過言ではない。昨年、韓国キャラクター産業の売上高は8兆2000億ウォンに上り、ペットを飼う人口は1000万人に至っている。韓国内のラバーダックの人気もこのような流れと無関係ではない。進化心理学者たちは人間が「かわいい」という感情を覚えるようになったのは、種族保護の本能と直接的な関係があると述べる。人気キャラクター商品は子どもと似たような特徴を持っている。頭は大きく、体は小さく、目を正面を向かっていて、何か素直なイメージを与える。人間はこのような姿にかわいさを覚え、子供を保護するよう進化してきたということだ。

◆人間はかわいいという感情を覚えるとき、気持ちが落ち着き、癒される。ラバーダックの製作者も「観客は私の作品を見て、癒されるだろう」と自信を示した。来月14日まで石村湖で公開されるラバーダックが、多くの人にこのような癒しを贈ってくれればと思う。しかし私たちの周りには、大人らしい姿が求められる年になっても、そうでない若者がかなり多い。「かわいさにはまってしまった国」は、その分「大人になることを拒む国」という意味ではないか気になる。

洪賛植(ホン・チャンシク)首席論説委員 chansik@donga.com