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[オピニオン]「ノーベル経済学賞」ジャン・ティロール教授の市場規制理論

[オピニオン]「ノーベル経済学賞」ジャン・ティロール教授の市場規制理論

Posted October. 15, 2014 04:34,   

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消耗性資材購買代行(MRO)の世界最大手である米グレンジャーの日本子会社・モノタロウ(MonotaRO)は昨年4月韓国法人を設立し、約1年半で3万以上の顧客会社を確保した。ドイツのウルトと日本のミスミグループも今年、韓国市場に進出する。経済民主化の風が吹き始めた2、3年前、韓国の大手企業がMRO市場から撤退した後の現実は逆説的だ。国内の中小企業が成長するところか、海外の大手企業が大手を振る市場に転落してしまった。

◆今年ノーベル経済学賞の受賞者に選定されたフランス・トゥールーズ第一大学のジャン・ティロール教授は産業組織論の大家だ。特に、ゲーム理論を産業組織論に適用し、独占・寡占政策の新しい地平を開いた。ティロール教授は独占・寡占により効率性が低下する「市場の失敗」を防ぐには、産業と市場の特性を反映した適切な規制が効果的であり、このような違いを無視した一律の規制は大きな弊害をもたらすと強調した。不動産景気低迷の中で実施された分譲価格上限制度や大手企業のMRO市場からの撤退の副作用を考慮すると、納得の行く診断だ。

◆フランスの経済学者としては26年ぶりにノーベル経済学賞を受賞するティロール教授が1980年代に発刊した著書「産業組織論」は、現在も米国の主要大学院の教材として使用されている。独占・寡占企業の弊害は防ぐべきだが、一律の規制はいけないと主張する点で、同氏は規制緩和万能論者でも、盲目的な規制強化論者でもない。特定の分野だけに集中する多くの学者とは違って、経済学者の多様な分野に精通している点も評価されている。

◆受賞者発表の後、ティロール教授は「フランスは国家(政府)規模の縮小に失敗した」とし、国家規模が膨大になれば持続可能ではなくなると強調した。フランス企業が正規社員の採用を恐れ、ほとんど非正規社員として雇っている現実を批判し、「社員を過度に保護しようとして、かえって全く保護できなくなる不合理な状況に陥っている」とも述べた。韓国はフランス以上に労働市場が硬直化しており、「大きな政府」への憧れも強い。市場の特性を反映した適切な規制とともに、労働政府と政府改革に対するティロール教授の見方に耳を傾けるべきではないだろうか。

権淳活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com