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[オピニオン]石宙明「都市娘蝶」

Posted October. 06, 2014 04:05,   

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春娘、田舎娘、都市娘、妓生、北方妓生…。若い女性のことのようだが、実は蝶の名前だ。韓国の蝶研究の先駆者、石宙明(ソク・チュミョン)が全国の山や野で飛ぶ蝶を形、色、大きさなどの特徴によって分類して付けた名前だ。窓、煙突、地獄など、蝶の美しく平和なイメージに似合わない興味深い名前も多い。ドイツの童謡「蝶」に出てくる黄色い蝶、白い蝶を知っている程度ではだめなようだ。

◆荘子の「胡蝶夢」から米国の気象学者エドワード・ローレンツの「バタフライ効果」に至るまで、蝶は文化や芸術だけでなく、哲学や科学の領域でも多様なインスピレーションの源泉になってきた。色素がなくても美しい色を出す蝶の羽のナノ構造を応用して毒性の顔料が入らないペイントを作る研究や、蝶の形のスパイロボットの開発なども行われている。ファッション、デザイン、水泳など、生活の至る所で蝶が目につく。テレビの時事番組の出演者が蝶ネクタイを結んでいるのも今ではよく目にする。

◆1908年、平壌(ピョンヤン)の裕福な家庭に生まれた石宙明は、1926年に日本の鹿児島高等農林学校に留学したのを機に、蝶に魅せられた。1本の論文を書くために約16万匹の蝶を分析した。計75万匹の蝶を採集して研究した。日本の学者が別の種に謝って分類した蝶が実は同じ種であることを明らかにし、韓半島の蝶の種類を体系的に整理するうえで大いに貢献した。

◆韓国戦争の時、石宙明はソウルの南山(ナムサン)国立科学館の蝶の標本を守るために避難しなかった。しかし、科学館が爆撃を受け、標本は虚しく消失し、石宙明もその後、人民軍と誤解され、銃で撃たれて死亡した。64年前の今日、1950年10月6日、42才の時だった。済州島西帰浦(チェジュド・ソギポ)に、石宙明が蝶と済州島の地理、方言などを研究したことを称えて、「石宙明公園」が去年の夏に造成された。西帰浦市は、蝶博物館と記念館の建設も計画している。秋の蝶が羽ばたくのを見ると、石宙明の魂も蝶のように自由だったという気がする。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com