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[オピニオン]アイフォン6対三星

Posted September. 12, 2014 09:34,   

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新型スマートフォンの「アイフォン6」と「アイフォン6プラス」は、アップルの創業者・スティーブ・ジョブズが生きていたなら、絶対に出てこなかっただろう。最も変ったのは、三星(サムスン)ギャラクシーフォンの専売特許ともいえる大型画面だ。これまで大画面(ファブレット)スマートフォンを主導してきた三星を追随したという批判も出ているが、見やすい大画面への切り替えは、アップルとしても避けられない運命だったようだ。

◆ジョブズは、「ポルノがほしければ、アンドロイドフォンを買え」とか、「アンドロイドを崩壊させることができるなら、核戦争も辞さない」と口にした。ライバルのグーグルへの悪感情やジョブズならではの独善が、そのまま感じられる。生前のジョブズは、自分の直感に頼って、少数のエリートで企業を経営してきたが、後継者のティム・クックは、IBMとのパートナーシップを宣言した。バーバリやイブ・サンローラン、ナイキ出身の役員を迎え入れ、企業買収も活発に行っている。閉鎖的なアップルが、開放のアップルへと生まれ変わったのだ。

◆新型アイフォンの代表商品は、モバイル決済サービスの「アップルペイ」だ。誰かが先取りした特許のため、「アイペイ」ではなく、アップルペイと名づけた。これを使えば、クレジットカードを無くす心配も、個人情報が流出される懸念も、署名する必要もない。これまでのモバイル決済サービスとあまり変らないと、貶める空気もなくはない。しかし、かつて、アイチューンズがアルバムCD市場を没落させたように、アップルペイが、財布を不要なものにし、モバイル決済生態系を覆すだろうという予測が説得力を得ている。

◆アイフォン6は、大型スマートフォン市場を先取りしてきた三星に、少なからぬ打撃を与えるだろう。すでに、中国メーカー各社が、アップルや三星の長所だけをかき集めた新兵器を発売し、猛烈に追い上げてきている。どうやら三星の立場は苦しい。アイフォン6が、成功するかどうかはまだ分からない。ただ、注目すべきことは、ジョブズ以降も、アップルはジョブズの革新の遺産まで切り捨てながら、革新をやめなかったことだ。三星の技術的競争力は、アップルに決して後れを取っていない。韓国の遅れた金融やモバイル決済関連の不思議な規制、そして三星自らがオンライン上の討論会でも認めたように、「革新しづらい三星の組織文化」が、革新の足を引っ張っているだけだ。

鄭星姬(チョン・ソンヒ)論説委員shchung@donga.com