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[オピニオン]愛国歌の音程を下げる問題を巡る陰謀説

[オピニオン]愛国歌の音程を下げる問題を巡る陰謀説

Posted September. 01, 2014 07:46,   

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安益泰(アン・イクテ)の愛国歌は、元々はイ(A)長調だった。イ長調の愛国歌の最高音は、高いミ(E)だ。高いミぐらいでも、歌うのが難しい人たちが結構多い。特に、小学生らは声帯が十分に発達しておらず、中学高校生らは、その大半が変声期にあるためなおさらそうだ。ソウル市教育庁が、愛国歌を長三度を引き下げて、ヘ(F)長調で普及している。ヘ長調曲の最高音は、高いド(C)だ。高いドも、少々のことなら誰もが簡単に歌うことができる。

◆愛国歌の高音部が下がるのはいいことだが、低音部まで一緒に下がるのが問題だ。イ長調では、最低音がド(C)♯だが、ヘ長調に下げれば低いラ(A)まで下がる。少なくない音が低い音階で動き、曲の雰囲気が沈み込む。とある音楽家が、「原曲の気迫の消えた気の抜けた愛国歌になった」とし、「愛国歌を、運動歌より下に置こうとする陰謀が隠されている」と主張し、議論を呼んでいる。しかし、愛国歌の音階を下げて歌うことは、現在のチョ・ヒヨン・ソウル教育監ではなく、文龍鱗(ムン・ヨンリン)前教育監時代に進められたことが明らかになり、陰謀説には根拠のないことが判明した。

◆陰謀説まではいかなくても、愛国歌の音階を下げて歌うことに反対する声がけっこうある。愛国歌のメロディーは、安益泰の「コリアファンタジー」に入っている。作曲家が曲をイ長調と書いており、その長調で演奏してこそ、曲の感じを最もうまく活かすことができるという。正しいことだが、それが必ずしも、イ長調に拘る理由にはなれない。コリアファンタジーの中の愛国歌は、現代的器楽曲の中に入っている合唱曲だ。そんな曲を、一般人に音高までそのまま歌わせるべきだというのは、教祖的態度だ。

◆愛国歌を歌ってみた人なら、その大半が下げて歌う必要性を感じるだろう。とはいえ、なぜ、ソウル市教育庁がわざわざ、2音を下げたかは、理解に苦しむ。実は、1音だけ下げて、ト(G)長調で歌っても、愛国歌は、楽に歌うことができる。その場合、最高音は高いレ(D)、最低音は低いシ(B)になる。人たちが一番歌いやすい音域だ。世間に出回っている愛国歌の楽譜には、ト長調の楽譜が多い。歌ってみれば、ヘ長調のように気が抜けないのに、イ長調の明るい感じが生きている。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com