Go to contents

[オピニオン]陳重権の「鳴梁」批評

Posted August. 09, 2014 03:49,   

한국어

「映画『鳴梁』は率直に言って駄作でしょう」。文化評論家の陳重権(ジン・ジュングォン)氏が発言して議論になっている言葉だ。皆が見るからといって名作というわけではない。誰かは駄作だと言うことができる。文化は好みによって評価が極端に分かれることがある。にもかかわらず、「D-WARS ディー・ウォーズ」時の陳氏の評とは違って、行き過ぎた批評のように感じられる。映画のような大衆文化は、ポップコーンを食べ、コーラを飲みながら、気分転換で鑑賞する文化だ。おもしろく見ればいいのであって、名作か駄作かを問うこと自体が適さない。

◆陳氏は、「鳴梁」の成功は李舜臣のお陰だと言った。セウォル号惨事後、李舜臣のリーダーシップを渇望する社会ムードがある。だが「聖雄李舜臣」のような退屈な過去の映画と比べれば、映画ではなく李舜臣のお陰だと言うことはできない。「鳴梁」の成功は、李舜臣を彼の人間的苦悩まで含めて形象化したうえ、後半の壮大な戦闘シーンが退屈になりがちな前半を支えていることによる。理念過剰の批評家には、大衆の目には明らかなこのようなことも、よく見えない場合がある。

◆陳氏の批判には、むしろ彼の皮肉る心理がうかがえる。「D-WARS ディー・ウォーズ」の批判は、韓国人が作ったものなので、無条件に誉めるといった盲目的愛国心(ショービニスム)に対する反感によるものだった。陳氏の「鳴梁」に対する批評には、映画が愛国心を鼓吹させることへの敵がい心のようなものが感じられる。すべての愛国心がショービニスムというわけではない。陳氏の批評は、一度も健全な愛国心を持ったことがない人特有の心理状態の表現と言えるかもしれない。

◆陳氏が言った言葉ではないが、「鳴梁」の成功は配給会社であるCJの力という分析もある。李舜臣も偉大だが、さらに偉大なのはCJという言葉が聞かれるほどだ。CJのマーケティングが優れているからか、映画の封切り前からソル先生の「鳴梁」解説講義がインターネットに出回った。封切り後、映画のメイン館は「鳴梁」がおさえているため、他の映画を見たくても見ることができない状況だという。陳氏の反骨的な批評すらノイズマーケティングのように吸収されているのではないかと思うほどだ。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員pisong@donga.com