Go to contents

[オピニオン] セウォル号のトラウマ

Posted July. 07, 2014 03:17,   

한국어

「いつも笑顔だったが、どれほどストレスがひどかったのか・・・」。セウォル号事故の収拾現場で行方不明者を捜索していた珍島(チンド)警察署のキム・テホ情報係長の遺体が、珍島大橋から身を投げて9日後の5日に発見された。故人は、セウォル号惨事後、彭木(パンモク)港と珍島室内体育館に滞在し、車で30分の距離のヘナムの家に3度しか立ち寄ることができなかった。激務ではあったが、遺族の苦しむ姿を見るのが辛かったと思われる。

◆いつからかセウォル号犠牲者を引き揚げても、「男子学生と推定される」といった報道が出る。遺体を引き揚げても精神的衝撃を考慮して、家族に見せないようにするという声も聞こえる。それだけ痛みが激しいということだ。セウォル号事故で国民皆が辛い日々を送っているが、毎日のようにこのような遺体を収容し、検死し、写真を撮らなければならない人々のトラウマは深刻だ。数日だけであっても彭木港に行った人にはその憂鬱なムードが長く記憶に残る。

◆潜水士は潜水病も脅威だが、精神の健康も心配だ。潜水士は人体の限界をテストする水中で作業し、遺体を直接見て触る。彼らは、1人の遺体でも収拾して家族に返したいという使命感でトラウマ治療も受けずに海に飛び込んでいる。犠牲者の身元を確認しなければならない検死医のトラウマも深刻だ。傷ついた遺体を検死した時の精神的衝撃は言葉で表現できないという。遺族の怒りと苦痛を近くで見守らなければならないボランティアにもストレスがともなう。遺族の感情をそのまま感じるためだ。

◆どんな形であれ遺体に接した人は一生拭えない傷を負う。惨事を防げなかったという罪悪感に加え、おぞましい場面の幻影がつねに浮び上がる。懺悔を受けるカトリックの神父も懺悔が必要なように、彼らを治療する医師やカウンセラーも治療が必要なほどだ。トラウマを克服できなければ、キム情報係長のように極端な選択をする恐れもある。途方もない悲劇を直接・間接的に受けた人々の精神の健康問題を遅らせてはならない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員shchug@donga.com