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新政治連合の政権奪還は放送を忘れたときに見えてくる

新政治連合の政権奪還は放送を忘れたときに見えてくる

Posted April. 17, 2014 03:29,   

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野党新政治民主連合が悪習を踏襲している。限りなく放送にこだわる癖だ。国会・未来創造科学放送通信委員会所属の同党議員らは、放送法改正案を通過させれば他の法案の処理にも応じれると意地を張っているのだ。与党セヌリ党が、こうした新政治連合の態度に反発し、同委員会で扱う全ての法案の処理が棚上げ状態となった。

同委員会には与野党が合意済みの127の法案が処理を待っている。地方選挙を控えている時期に、国民生活関連法案は積極的に通過させる姿を見せた方が、国民支持の獲得に有利なはずだ。多くの有権者が、こうした足を引っ張る態度にうんざりしていることを新政治連合が知らないはずがない。にもかかわらず、他のことを全て失うことがあってもこの法案だけは譲れないと闘争心を燃やしている。

最近、新政治連合はKBS入社試験の面接質問について敏感な反応を見せた。面接官らが受験者たちに「従北勢力は存在するを思うか」「愛国歌の4番目を覚えているか」と質問したことを問題視したのだ。同党は、「受験者の(政治的)性向を確かめるための思想検証だ」とし、KBSに国民向けの謝罪を要求した。しかし、愛国歌の4番目を聞くことを批判するのなら、逆に同党のアイデンティティに疑念を抱かざるを得ない。結局、KBS内部からは、「入社試験の面接で、どういう質問をするかはKBS固有の権限だ」という皮肉交じりの言葉だけが返ってきた。

旧民主党時代の今年3月、MBCが役員人事を行うと、民主党議員らが「銀行強盗に銀行の金庫を任せた格好だ」と激しく攻め立てた。新政治連合の前身、民主党は公営放送の労働組合がストライキを起こすと、決まってスト現場を訪問し、支持を表明してきた。テレビ局の役員は敵とみなし、労働組合は友軍と受け止めているようだ。「放送は政治的に独立していなければならない」と声高に叫んでいながら、誰よりも放送に介入しようとしているのは新政治連合の方なのである。

今回の放送法を巡る対立は、放送編成の権限をテレビ局内部で誰が握るのかを取り巻く争いだ。現行の放送法は、放送の編成について、「放送される事項の種類、内容、分量、時刻、配列を決めること」と定めている。要は、どういう放送を流すかを決めることなのである。新政治連合は、テレビ局内部の編成委員会を労使同数で構成するようにする内容の改正案を提出している。今は、放送事業者が制作従事者の意見を聞いて編成することになっている。改正案が国会で通過すれば、編成を巡っては、テレビ局の労使が「上下関係」から対等な関係に変わる、重大な変化が起きる。

民間放送が直ちに「経営権侵害」と反発するのは必至で、いくら公営放送とは言え、望ましい方向なのかは疑問だ。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンヘ)の両保守政権下でも公営放送の労働組合のパワーは依然として強い。テレビ局が李承晩(イ・スンマン)、朴正煕(パク・チョンヒ)、白善樺(ペク・ソンヨプ)の3氏のドキュメンタリーを放送しようとして激しい抵抗にあったが、北朝鮮人民軍の軍歌を作曲し、韓国戦争では中国の人民義勇軍として参戦した経験のある鄭律成(チョン・ユルソン)のドキュメンタリー番組が公然と公営放送で放送された。労使同数による編成委員会は、過激労組には「鬼に金棒」となるだろう。

国会で、セヌリ党幹事が、こんな違憲的な改正案に簡単に同意したのは嘆かわしい。セヌリ党は、2004年にも、後日「一部違憲」の判断が示された新聞法の成立にも同意した前歴がある。とは言え、「国会の未来創造科学放送通信委員会で法案が棚上げされているのは、全的にセヌリ党の責任だ」という新政治連合が非常識な言動は、国民をなめている。同党が改正案を押し付け、テレビ局労働組合のさらなる影響力拡大を図ることで、自分たちに友好的な放送にしたい思惑があることは明らかだ。

同党は、相手政党の政策については、とりあえず反対する態度をたびたび見せてきた。「でっち上げ」だの「陰謀」だのと言って、間接利益を取ろうとする傾向もあった。ことあるたびに、北朝鮮を庇おうとしている、という印象を与えてきたのも事実だ。放送が不公正で、正当に評価されていないという認識に囚われていると、根本的な刷新は望めない。超民主化時代に放送をなんとか動かしてみようとする発想自体、暗くて、いやらしい印象を与えるだけだ。

これまで、同党の放送への対応は、悉く失敗に終わっていた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下では放送掌握を図り、公営放送の数々の左派寄り番組は、国民の反感を招き、歴代最低の政権支持率につながった。「野党が負けようとしても負けられない」と言われた2012年の総選挙と大統領選挙で敗北したのも、「総合編成チャンネルへの出演拒否」といった脅迫症状が大きな原因となった。野党の低い支持率は人のせいではない。新政治連合が放送を早く忘れるほど、政権奪還への道はより鮮明に見えてくるだろう。