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[オピニオン]李美子の55年、ナム・ジンの50年

[オピニオン]李美子の55年、ナム・ジンの50年

Posted April. 10, 2014 03:21,   

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「数え切れないほどの多くの夜を、私の心をえぐる苦しさに耐え切れず、どれほど泣いただろうか〜」。昨年10月26日、ドイツ・フランクフルトのヤールフンダートハレ舞台で、歌手の李美子(イ・ミジャ)氏(73)が「椿の娘さん」を歌い始めると、ドイツに派遣された元炭鉱労働者や元看護師達は、あふれ出る涙をどうすることもできなかった。半世紀間、胸に染み付いていた悲しさや切ない思い出が、彼らの頭の中を走馬灯のように横切ったはずだ。労働者ドイツ派遣50周年を記念して行われた公演のタイトルは、「李美子のグーテンターク、椿の娘さん」、公演の様子を中継した放送で、1人の観客は、「つらかった当時、この歌で多くことを慰められた」と話した。

◆「椿の娘さん」は、李氏が1964年に発表した曲だ。春窮期のあった時代、10万枚を超えるアルバムが売れた。最近で言えば、ミリオンセラーに当たる人気を享受したが、維新時代、悲嘆のリズムに日本色が濃いことを理由に、禁止曲となった。離れてきた祖国が禁じた歌を、ドイツに派遣された炭鉱労働者や看護師2万人あまりは、家族やふるさとが懐かしく、泣きじゃくるたびに、涙声で歌った。彼らにとって、李氏の歌は、単なる歌謡ではなく、異国暮らしの悲しみを慰めてくれる友人だった。

◆500枚あまりのアルバム、2000曲あまりの曲を発表した「エレジーの女王」が今日、世宗(セジョン)文化会館で、「李美子の歌55年」の全国ツアーコンサートの幕を開ける。1959年、19歳で、「19歳の純情」でデビューしたことを記念する席だ。嬉しいニュースがさらにある。「韓国のエルビス・プレスリー」と呼ばれてきたナム・ジン氏(68)も、来月3日から、デビュー50周年記念の全国ツアーに乗り出す。1964年、「ソウルプレイボーイ」でデビューして以来、1000曲あまりを発表した「お兄さんの元祖」は、依然建在している。

◆70歳前後の歳にも、2人は現在進行形だ。2人の歌で慰められたファンらが存在しているおかげだ。国を奪われ、戦争を経験し、貧困と激しく戦いながら、ドイツやベトナムへと出稼ぎに行かなければならなかった時代を乗り越えてきた仲間としての熱い絆のためだろうか。歌謡史に金字塔を建てた歌手らの音楽人生に劣らぬほど、無情な歳月を耐えてきた同世代の大人たちのつらかった人生にも、敬意を表したい。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com