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[東京小考] やはり戦争が嫌いな日本人

Posted April. 10, 2014 11:37,   

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今月7日、朝日新聞に載った世論調査の数字を見て、一瞬、わが目を疑った。東亜日報が翌日グラフ入りで大きく紹介したように、日韓の国民の多くがいがみ合い、日中の国民感情はもっと険悪だという事実が示されたからだろうか。いや、そうではない。昨今の状況からすれば、これは予想されたことで、憂慮すべきではあるが、驚くことではない。

 では、何に目を見張ったのか。それは、安倍晋三首相が意欲をみなぎらせる憲法9条の改正について「ノー」という日本人が去年より7ポイントも増えて64%に達し、賛成の29%を大きく上回った。という事実である。

9条は軍隊の保持を禁ずるなど、平和憲法の象徴的な条文だ。今度の調査では、9条の解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認することについても、厳しい数字が出た(賛成29%、反対63%)。

 安倍首相は周辺国家の強い反対を押し切って、靖国神社の参拝をやってのけた。先月は、武器の輸出を基本的に禁じてきた日本政府の原則を大きく変えた。いまは、これまで歴代の内閣が憲法の制約から「できない」としてきた集団的自衛権の行使に道を開こうとしている。

安倍政権の支持率はなお50%を超え、国会では自民党の多数支配に揺るぎない。一方で北朝鮮は相変わらず核やミサイル開発を続け、中国の軍事的な脅威も増している。しかも国民に反中、嫌韓の感情が強まっているとあれば、憲法改正や国防軍の登場を期待する日本人が増えていても不思議ではない。

 韓国人の目にはなおのこと、そう見えていたはずだ。さまざまな右傾化の現象からして、日本は軍事国家の復活を目ざしているのではないか。そうした声があちこちで聞かれる。その度に首を振ってきた私ではあるが、正直いうと最近は不安も頭をもたげていた。それだけに、今度の世論調査には私も大いに元気づけられた。

増えたのは9条改正の反対論だけではない。「戦後レジームを変えたい」と言う安倍首相は「憲法を全面的に変えない限り日本は真に独立を果たしたことにはならない」との考え方だが、国民の答えは「その通りだ」が19%にすぎず、「そうは思わない」が75%。憲法全体を見れば、改正論の方が多いのが最近の傾向だったにもかかわらず、今度はそれも逆転した。「変える必要がある」は昨年の54%から44%に減り、「必要ない」が37%から50%に躍進したのだ。

こうした数字はいったい何を物語るのか。安倍内閣の支持率が高いのはやはり経済政策への期待からであり、首相がもつ復古的な側面を支持するからではない。いや、むしろそれにはブレーキをかけたいという心理に違いない。日本の周辺に緊張が高まっているのは確かだが、それには軍事力で対抗するより、むしろ日本が自ら緊張を高めることを避けるべきだ、と考えているのだ。

簡単に言うなら、日本人はとにかく戦争をしたくないのだ。やはり朝日新聞が 昨年末に行った調査では、以下の数字も浮かんだ。「仮に外国から攻撃を受けたら、命の危険があっても国のために戦いたいと思うか」という問いに、20代では「思う」が13%、「思わない」が79%。30代でも12%対78%。あとは年齢が高くなるほど「思う」が増えるが、70歳以上でも35%対53%という具合である。

何だか情けない数字でもあり、これを大きな声で宣伝すべきか戸惑うが、日本人、とりわけ若い世代の「戦争は嫌」という気分がくっきり表れている。

同じ調査で、首相の靖国参拝を支持する人が若い世代に非常に多かったのも事実だが、自分たちは神社に祀られた兵士のように決してなりたくはないのだ。戦争はもうこりごりという気持ちに変わりはない。

世論調査を過信すべきではない。その読み方にもなお研究がいるだろう。だが、日本人の多くが「改憲」を掲げる首相と一緒に行進しているわけでないことだけは、韓国の人にもよく知っておいてもらいたい。

若宮啓文(日本国際交流センター・シニアフェロー 前朝日新聞主筆)