[オピニオン]「言葉」のインフレーション
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JUNE 18, 2012 08:10.
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約10年前、テレビ番組に人気絶頂だったダンスグループのH.O.Tが出演した。公開ホールを満員にした幼い観客の泣き叫ぶような歓声に圧倒されたのか、進行の司会者がこう叫んだ。「韓国のビートルズ、H.O.Tです」。一瞬、私は耳を疑った。いくら絶頂の人気だとしても、一ダンスグループをビートルズに比較するのはちょっと行き過ぎではないかと。しかし、最近の番組を見ていると、この程度のことはご愛嬌だ。「ロックの伝説」だとか「バラードの女神」と言って、ちょっと実力のある歌手やグループは、万神殿に祀り上げられる。「言葉」のインフレーション時代だ。
◆「言葉」のインフレーションは、インターネットやソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の言語が氾濫するこの時代だけの現象ではなかったようだ。スタンリー・キューブリックの映画「時計じかけのオレンジ」の原作者である小説家アンソニー・バージェスは、1964年に出した本「陳腐な言語(Language Made Plain)」で、「ただ旋律が美しいポップソングをすばらしいと言うなら、ベートーベン交響曲9番の合唱はいったいどのような単語で表現できるのだろうか」と嘆いた。彼は「誇張された表現がすべての意味を台無しにしている」と憂いたのだ。
◆李海瓚(イ・ヘチャン)民主統合党代表が、現政権を「悖悪無道な政権」と言った。「人として当然守らなければならない道理に反する、凶悪で非道な政権」ということだ。現政権をどのように表現しようが、それは言う人の自由だ。しかし、気になることがある。李代表は1970年代の維新独裁と1980年代の権威主義的軍事政権時代に抵抗した。ならば、李代表は当時の政権をどのような言葉で表現できるのだろうか。一般の人の目線で「悖悪無道な政権」とは、燕山君(ヨンサンクン)やローマ時代のネロ皇帝の統治に匹敵するだろう。
◆4月の総選挙で、民主統合党の絶対劣勢地域である大邱(テグ)から出馬して落選した金富謙(キム・ブギョム)元議員は、大邱の民心をつかむことが容易でない理由をこのように話した。「人々も、李明博(イ・ミョンバク)政権が誤っているということは分かっている。しかし、李政権が豊かな国を1日で亡ぼしたといったようなオーバーは好まない。そのようなことが積み重なり、民主党に背を向けてしまった」。現実とかけ離れた誇張や毒舌よりも、核心をつく「寸鉄殺人(短い言葉で相手の欠点をするどく批判すること)」でこそ、広い共感を得ることができる。
ミン・ドンヨン週末セクションO₂チーム記者 mindy@donga.com