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[オピニオン]先行学習禁止法

Posted June. 06, 2012 06:50,   

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先行学習とは、正規の学校教育課程より先に進む私教育プログラムをいう。先行学習は、自分で勉強する予習とは異なる。1学期の先行は基本で、概ね1年、ひどい場合は3年先行する。先行が行き過ぎ、中学生が中学課程を学ぶには小学生の学習塾に通わなければならないほどだ。一部の特別目的高校の校長は、入試説明会で、「同校に入学するには、高校の課程を終えて来てください」と露骨に要求し、先行学習を煽っている。

◆先行学習が最もひどい科目が数学だ。韓国科学創意財団が昨年7月に、小学校4年生以上から高校生までの生徒と父兄4715人を対象に、数学の私教育の実態を調査したところ、1学期以上先行する割合が、小学生は64.2%、中学生は56.3%、高校生は62.9%だった。3年以上先行するという回答も小学生3.47%、中学生2.09%にのぼった。実際に、学習塾が集中するソウル江南(カンナム)では、頭の小さな小学生が、中学生にも難しい図形の合同や三角関数、等比数列の問題を解いている姿を簡単に目にすることができる。

◆先行学習が果たして効果があるのだろうか。ソンパチョンサン数学院のチェ・ヨンソク院長は、最近開かれたあるセミナーで、「先行学習をした生徒の70〜80%は、ちゃんと習得していない」と指摘した。習ったことを消化しないまま進度だけ先を行く生徒は、累積的に学習が欠如し、着実に正規の教育課程を受けた生徒よりも勉強ができない結果を生むという話だ。むろん皆がそうではない。上位5%の生徒は、先行学習の恩恵を受ける。しかし、多くは基礎を十分に固めることができないまま、先行学習に時間、金、体力を浪費している。

◆教育当局が教育課程を設計する際、発達段階にともなう脳の構造と学習力を考慮して作成する。それにもかかわらず、私の子どもだけ損をするのではないかと心配して、親は子どもを先行学習の学習塾に通わせる。学習塾も猛烈なマーケティングをしている。映画館で最前列の観客が立ち上がって映画を見れば、後列の観客もやむを得ず立ち上がって映画を見なければならない。皆が不便に映画を見る敗者になってしまう。「私教育の心配のない世の中」という市民団体が、先行学習禁止法の制定運動をしている。学習を法で禁止していいのかという反論も出ているが、このような法を求める声が出るほどだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com