迫害受けるほど強まる人権と民主主義への信念 陳光誠氏の脱出助けた胡佳氏
.
MAY 01, 2012 08:46.
.
「(陳)光誠とツイッターから我々は気がつく。塀を越える者だけが自由であることを…」
中国の人権運動家の胡佳氏(39)は4月29日、自身のツイッターにこう書き込んだ。この書き込みは複雑な意味を含んでいる。「光誠」は、今月22日に軟禁されていた自宅の塀を越えて脱出し、北京の米国大使館の保護を受けている人権弁護士の陳光誠氏(41)のことだ。もう一つの意味は、ツイッターへのアクセスを禁止している中国インターネット検閲プログラムである、一名「万里の長城ファイヤウォール」を突破しろと呼びかけているのだ。中国のネットユーザーたちは、ネット迂回プログラムを「塀を越えるプログラム」と呼んでいる。
胡氏は、陳弁護士の脱出を助けた容疑で連行され、24時間、中国当局の尋問を受け、先月29日、いったん帰宅した。胡氏は、ツイッターに「尋問を受けるとき、私が肝硬化を患っていることを知っていながら横になるのを許さず、座らせ続けた」とし、「机を叩きつけながら抗議すると、長い椅子を持ってきたので、3時間ほど横になることができた」と書いた。胡氏は痩せ細った体つきにまじめな顔をしているが、繰り返される逮捕、取り調べ、収監の中でも自由と民主主義、人権を叫び続けた。
胡氏が陳弁護士の劇的な脱出を助けた「5人の義人」の中心人物であることが知られると、世界から感嘆と憂慮の声が同時に上がっている。国家公権力の横暴から基本的人権や安全を守ることが困難な中国のような統制社会において、反体制派の脱出を助けることは、殺身成仁の決断がなければ不可能なことだからだ。ましては、胡氏はすでに国家転覆扇動罪に問われ3年6ヵ月を服役しており、再び起訴されれば累犯とされ、10年以上の懲役刑が課せられる可能性がある。
胡氏は、妻の曽金燕さん(29)と一緒に中国の人権問題を告発してきた人権運動家だ。北京国際学院(首都経済貿易大学の前身)の学生時代は環境問題に関心を持ち、卒業後は本格的な社会活動を始め、人権問題にまで関心を広げてきた。
胡氏は、ネットに中国の人権弾圧の実態を告発する記事を頻繁に投稿し、外国メディアを通じてこれを知らせた。フランス・パリの本部を置いている「国境なき記者団」(RSF)から2007年に特別賞を受賞した。2007年11月に欧州議会で中国の人権問題について証言したことで、同12月、国家転覆扇動の容疑で逮捕され、翌2008年に3年6ヵ月の懲役刑を言い渡されて満期服役している。
同年末に、胡氏と妻は、ノーベル賞平和賞の候補に挙げられ、2008年には欧州連合(EU)が表彰する人権賞を受賞した。当時、妻の曽さんは、服役中の夫に代わって欧州議会に送った映像メッセージの中で、「1才になったばかりの娘がパパのいない状態で育っている。中国には、私たち夫婦の他にも数多くの運動家が辛酸をなめている」と話した。
昨年6月に満期出所した胡氏は、香港紙に対して、「私は、娘が生まれるとき、彼女のために自由と民主主義による法治の空間を作ってあげなければならないと考えた。娘の世代が、私たちが受ける苦痛を経験するように放って置くわけにはいかない」と話した。苦痛と迫害を受けながらも、さらに強くなって帰ってきたのだ。
24時間を公安が監視する事実上の自宅軟禁状態に置かれながらも、ネットを通じて陳弁護士と反体制派芸術家の艾未未氏や、2010年にノーベル賞平和賞を受賞した反体制派の劉曉波氏の行動に支持を表明し、今年初め、再び公安の家宅捜索を受けた。
今回、どういう経緯から陳弁護士の脱出を助けることになったのかについては詳しいことを公開していない。だが、胡氏が28日にツイッターに書いた内容から、二人の人権運動家の間に深い友情と同士愛が感じられる。
「2011年7月25日の夜、光誠の自宅付近に設置された携帯電話の信号を遮断する設備に落雷した。光誠と彼の妻は(この隙に)、私の38回誕生日を祝う電話をしてくれた。私の生涯で最も貴重な誕生日祝いの電話だった」