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韓国の適者生存、書取り

Posted January. 31, 2017 08:28,   

Updated January. 31, 2017 08:45

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「ソウル大学では誰がA +をもらうか」というタイトルの本が、3年前に世間の注目を集めた。韓国社会の体験的常識となっている「書き取りがうまい人こそ、良い成績をとることができる」ということを、深層インタビューやアンケートで明らかにした本だ。ソウル大学教授学習開発センター研究教授出身である著者のイ・ヘジョン教育と革新研究所所長がインタビューした最優等生の87%は、「授業時間に教授の言葉を一言も逃さず、できるだけ書き留める」と語り、試験や課題にもそのまま書くと答えた。

◆米名門大学ならどうだろうか。 2015年、EBSのドキュメンタリー「試験」で、ノーベル賞受賞者を多数輩出したミシガン州立大学を対象に調査した結果、授業内容の筆記と単位とは相関関係がなかった。とある学生が、「書き取ることは考えを遮断する。説明を書きとる代わりに、思い浮かんだことを書く」と語ったことが、記憶に鮮明に残っている。今年1学期からソウル大学でも、書取り流学習風土を変える実験を行う予定だという。一部の教養科目で、単位の代わりに「合格・不合格」評価方式をモデル導入するという。

◆韓国では、「書き取り」が教室を離れた後も続く。社長の指示は幹部らが、長官の指示は室・局長らが書きとる。「朴槿恵(パク・グンヘ)大統領府」は、その頂点にあった。閣議や首席秘書官会議で、大統領の言葉を一つも逃さないために深刻な表情で書きとるシーンは、ニュースの常連映像となっている。拘束された安鍾範(アン・ジョンボム)前大統領政策調整首席秘書官は、「優等生」だったらしい。対面報告を嫌った朴槿恵大統領との通話専用に用意された携帯電話を通して、2年間指示を受けてきた内容をもれなく書きとった手帳が510ページ、17冊にのぼる。

◆朴大統領は指示事項を読み上げながら、たびたび、「書きとっているのか?」と確認したというのが、安前首席の供述だ。この政府の代表ブランドとなっている創造経済も同様に、構想から実行までが「書き取り」でつづられていたものとみられる。学校では先生の言葉、社会では上層部の言葉をそのまま書取り、実行することを重要力量として備えた人たちが成功する社会。その中で第4次産業革命が求める創意的人材を養成するための教育革新が、果たして可能かどうか疑問だ