Go to contents

ベトナムに韓国人男性の像が立てられたなら。

ベトナムに韓国人男性の像が立てられたなら。

Posted January. 19, 2017 14:51,   

Updated January. 19, 2017 14:58

한국어
崔重卿(チェ・ジュンギョン)元韓国知識経済部長官が,書籍『ワシントンでは,韓国が見えない』の中で,「韓国は絶対に強大国ではない。一歩退き,状況を冷静に判断しなければならない」とし,日韓関係について「遽忘観理(怒りを抑え,道理をわきまえる)」を注文したことに,全く同意する。北東アジアの安保地図そのものが変わっている激変期であるからこそ,徹底的に国益に基づき,実利を優先して考えなければならない。

~強大国どころか中堅国でもない~

韓国は地政学的運命のため,対外的な影響を多く受けざるを得ないが,経済的にも海外市場への依存度が突出して高い。経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち,国民総所得(GNI)に占める輸出の割合は,ドイツに次いで2位,輸入の比率もメキシコに次いで2位だ。サムスン電子と現代・起亜自動車の売上の80~90%は,海外で生み出されるものだ。世界市場における小さな波紋にも韓国経済が影響を受けるのには理由がある。

世界の人々が,メイド・イン・コリアと韓国文化を受け入れたのは,韓国が開かれた心で世界の人々のアングルに合わせることができたからだ。しかし,外交・安保の分野に限っては,国際的な視野を持つことができず,自らを強大国であると勘違いしている。

敵も味方もない国際舞台で,韓国が立っている位置を正確に把握することができなければ,存在が危険になる。朝鮮時代の朝廷は,国際関係の動向に目と耳を閉じて過ごし,文禄・慶長の役を経て,結局滅びたではないか。

1905年,日米が桂・タフト協定に基づいて朝鮮とフィリピンを物のようにやりとりしたことも我々は全く知らずにいた。我々のおばあさんたちが慰安婦となった恥ずかしい歴史も,まずは我々が弱く愚かだったことが原因ではないか。

崔重卿元長官は,「国際社会において韓国は強大国でもなく,影響力のある中堅国でもない。先進国からすれば,『成金の田舎者』程度のもの」だと述べた。実際に外国に行き,韓国から来たと言うと,未だに「南か北か」と聞く人が多い。

韓国を知っていたとしても,「漢江の奇跡」を成し遂げたすごい国という程度で,敬意を示すほどではない。人間もそうだが,国も尊敬を受けるためには,謙虚さと教養や品格,他人への配慮が必要である。そうした点で,慰安婦問題を金銭の問題としてのみ考え,真の謝罪と反省もせず,国連常任理事国になろうとする日本は,その資格がない。

ベトナムは,フランス,米国,中国などの強大国と戦争を行った国だ。我々も参戦した。ベトナムの政治指導者の一貫した外交戦略は,過去ではなく未来に向かわなければならないということだ。韓国のベトナム参戦についても,「誤った政治指導者の問題であり,国民とは関係がない」という原則から外れることはない。もし,ベトナム市民が韓国大使館前にベトナム女性との間に産まれた子を捨てた韓国人男性を糾弾する彫刻像を立てたとしたら,今日の両国関係はなかっただろう。

~外交戦略は未来に向かうべき~

韓国人として慰安婦少女像そのものに反対する人はあまりいないだろう。しかし,外国公館の安寧と品位を守ろうとする世界の人々の約束(ウィーン条約)にまで目をつぶれば,得るものより失うものの方が多い。釜山の日本総領事館前に少女像を立てた市民団体は,世界の人々に人間の尊厳の価値を知らしめる趣旨で行動したであろう。このためには,まず我々が国際社会のルールを守るという道徳的優位性を確保しなければならない。「政府間の約束(慰安婦合意)も守れない韓国は,信じられない国」という認識が拡がれば,我々は孤立する他ない。

許文明 angelhuh@donga.com