米CNNは、昨年11月初めまで実施された当時の訓練を同行取材し、3日(現地時間)「金正恩(キム・ジョンウン)から脱出する方法」というヘッドラインで報じた。毎年実施する訓練だが、米軍のヘリコプターを動員して民間人を日本の沖縄まで避難させたのは、2010年以来7年ぶりのことだ。それだけ北朝鮮の核ミサイル計画の進展に対する米国人の憂慮と危機意識が高まっていることを反映している。
CNNが同行取材から2ヵ月経った3日に公開したのは、北朝鮮の金正恩労働党委員長が1日に新年の辞で核・ミサイル能力を誇示し、トランプ次期大統領がこれを否定するなど、北朝鮮と米国の緊張が高まっている状況を考慮したとみえる。非戦闘員避難計画の担当者ジャスティン・スターン氏はCNNに、「金委員長の新年の辞は米国を敵だと公言した。北朝鮮の深刻な発言を考えると、米国は最悪のシナリオに備えなければならない」と語った。
軍の脱出訓練の招集を受けた人々は、事前に準備していた荷物を持って集まった。個人の品物は1人当たり約27.2キロに制限された。訓練に参加したニコル・マルチネスさんは、「米軍が軍務員の家族に常に缶詰めや寝袋などを荷造りするように言っていた。自宅に非常用カバンを準備している」と話した。
参加者は、龍山米軍基地統制所で腕につける身分証を受け取った。セキュリティ検査の時、ペットも登録をしなければならなかった。幼い子供は、乳児用化学作用剤防止マスクを着用する教育も受けた。一部で「早く脱出しなければならないのに手続きが複雑だ」という指摘が出ると、ランス・カルヴァート司令官は、「戦時には数万人の民間人を5~7日間で脱出させなければならないため、汽車やバスなど民間の交通手段を活用してもっと早く避難させる」と答えた。
彼らは、バスに乗って京畿道平沢市(キョンギド・ピョンテクシ)南部のハンフリーズ基地に到着した。アスファルトの上で待機しているヘリコプター「チヌーク」を見て緊張した様子だった。ヘリコプターに乗る瞬間は万感胸にせまる瞬間だと軍関係者は説明した。ジミー・シーヘン大尉は、「この訓練は民間人に良い実習の機会でもあるが、軍人が精神を引き締める訓練でもある。軍人が最後の瞬間に『自分の妻、自分の夫はどこにいるのか』と考えては困る」と述べた。
離陸したチヌークは大邱(テグ)に着陸した。ヘリコプターから降りた人々は、ウォーカー基地の宿舎に泊まった。翌日午前5時に護送隊が彼らを金海(キムヘ)空港の大韓民国陸軍基地に送った。人々はここで米陸軍C‐130ヘラクレス輸送機に乗って韓国を発った。輸送機内で人々は寒さに体を丸めて互いに寄り添って眠った。目覚めた頃、輸送機は沖縄米軍基地についた。訓練を終えて彼らは韓国に戻ってきたが、戦争中は米国に向かうことになる。
趙은아 achim@donga.com