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低年俸の若手に小遣い渡しながら、プロ野球界に浸透した「黒い」誘惑

低年俸の若手に小遣い渡しながら、プロ野球界に浸透した「黒い」誘惑

Posted July. 23, 2016 06:56,   

Updated July. 23, 2016 07:28

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「選手たちに黒い誘惑の温床となっているスポンサー文化の恐ろしさを焼き付けるために最善の努力を尽くします」。21日、NCのイ・テヤンと尚武(サンム)のムン・ウラム(前ネクセン)の八百長試合事件を受けて韓国プロ野球選手協会が発表した謝罪声明の一部分だ。

声明で目を引くのは「文化」という言葉だ。スポンサー文化は、一般にはあまり知られていないが、プロ野球選手の間では広く浸透している。1軍でプレーできるほどの実力をつけている選手はもちろんのこと、監督やコーチの周りにもスポンサーと呼ばれる人物たちがいる。

囲が広いだけでなく、その歴史も深い。プロ野球創設期には、主に暴力団がそれぞれの縄張り出身の有名選手のスポンサー役を買って出た。選手たちを「弟」呼びしながら、お酒や食事をおごり、小遣いを渡した。当時ではまだ珍しがられた外車をプレゼントされた選手もいた。その代わり、大事な席に選手たちを呼びつけては「影響力」を誇示したりした。望ましいことではないが、少なくとも法の許す範囲を超えてはいなかった。

ところが2000年代以降、スポンサー文化にも変化が表れた。昔ながらの野球ファンとして「純粋に」付き合っている「弟分」の選手たちを金銭面でサポートする地域の有力者や実業家もいたが、最初から不純な目的から近づくスポンサーが表れるようになった。2000年代後半は不法スポーツくじ市場が膨張した時期だった。彼らが狙いを付けているのは、相対的に年俸が少ない若い選手たちだ。

年収数億ウォンのスター選手たちは金銭面でとくに不自由がない。首都圏にある球団のA選手は、「若い時に何度も『顔見知りの兄貴』たちが取り持った席に出てお酒を飲んで小遣いももらった。だけど、出たくない席に何度も呼ばれるのが嫌になり、ある瞬間から連絡を断ち切った」と話した。

しかし血気旺盛でやりたいことの多い若い選手たちは、相対的に誘惑に簡単に露出されている。周辺を見回すと先輩選手たちは高級車に乗って高級レストランに通っている。誰かが、それらをただで提供すると持ち掛けられると簡単に引き寄せられる。そういう付き合いが一度や二度繰り返されると、自分も気付かないうちに犯罪の沼に足を踏み入れてしまう。一度足を踏み入れたら弱点を握られて抜け出せなくなる。昨年の年俸が3300万ウォンだったイ・テヤンは、「兄貴」として付き合った八百長ブローカーにとっては、持ってこいの獲物だったのだ。

問題は、こうしたスポンサー文化がプライベートの世界にあるため、球団として未然に防ぐことが容易でないことだ。八百長事件が起きるたびに球団と韓国野球委員会(KBO)は教育を通じて再発を防止する言ってきたが、事件が継続して再発している理由がここにある。結局、カギを握っているのは選手自身だ。選手自身が誘惑を振り切らない限り、スポンサー文化はもっと隠密に、陰湿な形で受け継がれていくに違いない。



이헌재 イ・ホンジェ記者 기자