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[オピニオン]九老乙投票箱から出てきた「軍の不正選挙」

[オピニオン]九老乙投票箱から出てきた「軍の不正選挙」

Posted July. 22, 2016 07:09,   

Updated July. 22, 2016 07:33

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1987年の民主化運動で大統領直接選挙制が導入されたが、選挙への高い期待のため、九老(クロ)区役所での選挙不正を巡る座り込み事件という影もあった。1000人余りが連行され、200人余りが拘束された。座り込みへの鎮圧直後、九老区役所5階の屋上から身を投げて死亡したり、区役所地下の機関室で窒息して死亡した人がいるという噂が出回ったが、事実でないことが確認された。しかし、ソウル大学生が身を投げて下半身が麻痺する重傷を負った。

◆事件の発端は1987年12月16日の大統領選挙投票当日午前、ソウル九老乙選挙管理委の委員らが不審な不在者郵便投票箱をワゴンに載せて、九老区役所を出ようとしているという一本の通報から始まった。市民や学生ら数千人が詰めかけた。投票箱は、彼らの選挙管理委員会占拠から44時間後、再び選管に渡された。その後、投票箱は封印された状態で今まで保管されている。韓国政治学会は来年、民主化運動30周年を控えて、選管の協力を得て、昨日、29年ぶりに投票箱を開いた。

◆開票の結果、4325票のうち、盧泰愚(ノ・テウ)が3133票(72.4%)、金大中(キム・デジュン)が575票(13.2%)、金泳三(キム・ヨンサム)が404票(9.3%)の順だった。当時、九老乙全体では、金大中が6万6204票(35.7%)、盧泰愚が5万2076票(28.0%)、金泳三が4万7078票(25.4%)の順の得票だった。当時は、不在者投票を一般投票に混ぜて開票したため、不在者得票率が別途集計されたものがない。今回の開票で、盧泰愚氏の得票率が過度に高いのは事実だが、地方区別に比較することができないので、九老乙選管委員らが郵便投票箱を操作したと断言するのは難しい。

◆しかし、どこかで不正投票があったことだけは確かだ。当時、軍では広範に渡って不正が行われた。陸軍某師団将校3人がこれを公開したが、情報司令部からリンチを受けた。私も当時、同じ部隊で勤務して、その事情に詳しい。選挙不正は中隊長や大隊長の前で、事実上公開投票の形で行われた。代理投票もあった。九老区役所での座り込み事件のおかげで、当時、軍部隊の選挙不正を証明できる重要な資料が残ったと思う。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com