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[オピニオン]オヤジギャグ

Posted April. 16, 2016 07:14,   

Updated April. 16, 2016 07:18

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2010年に公開された映画「アジョシ」は、妻を失った後、路地裏で質屋を営んでいるチャ・テシクが主人公となっている。世間と断絶した彼を再び呼び出したのは、同じ町に住む女の子であるソミの行方不明事件だった。テシクは、たびたび質屋に立ち寄って、自分を笑わせたソミを探し出すため、元特殊部隊要員の実力を使って、臓器売買組織に立ち向かう。628万人を動員し、同年、最高興行作となったおかげで、テシクを演じたウォンビンは、大鐘(テジョン)映画賞・主演男優賞に選ばれた。しかし、輝く容姿のため、アジョシ(おじさん)というよりは、未婚の男性という感じが強かった。

▷おじさんたちは、その容姿ですぐわかる。十中八九は、お腹だけが膨らんだオタマジャクシの体型をしている。午後になると、腰当たりのシャツがズボンの外にはみ出していたりもする。眼鏡でもかけていたら、片方が斜めに傾いているのがおちだ。容姿がこれほどだから、考え方はどれほど時代に遅れているだろうか。どこかネジが緩んでいる上、くたびれた空気を漂わせている男がいるなら?その人こそおじさんだ。少し軽く言えば「オヤジ」といえる。

◆「ム(大根)が涙を流せば?ムトゥクトゥク」、「ソン・へがシャワーを浴びれば、ポソンポソン」。「高校生が最も嫌う木とは?ヤシの木」、「おこげを英語で言えば?バビ(ごはんが)ブラウン」。最近、流行っているいくつかの「オヤジギャグ」だ。寸鉄殺人の味はないが、ダジャレやつまらない言葉がほとんどだ。昨年、MBC番組『マイ・リトル・テレビジョン』に出てきたオ・セドゥク・シェフがこんな冗談を繰り返して飛ばしたことが次第に広まり、今は、シン・ドンヨブやパク・ヨンジンなどのお笑い芸人たちまでが、オヤジギャグを連発している。野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)共同代表も、「繰り返して、(野党圏)連帯(ヨンデ=延世大学と発音が同じ)、連帯と主張すれば、コデ(高麗大学)出身の方々に嫌われる」と一言添えた。

◆オヤジギャグは、聴く人の役割が大変重要だ。焼肉屋での会食途中、部長が、「会食ではなく、肉食だね」と口にしたとき、相槌を打ってくれれば、空気が盛り上がるだろう。中年世代と呼吸を一緒にするという共感も生まれる。若い部員たちとの距離を縮めようと努力する部長の奮発ぶりを、「ノジェム」(面白くない)と顔を背ければ、空気は瞬く間に盛り下がる。頼りないギャグを持ち出すオヤジのほうが、「お前たちが○○なんか知るもんか」と怒鳴りつけるおじいさんより、ずっとましだ。おっさんたちのためのいいわけだ。

異鎭イ・ジン)論説委員 leej@donga.com