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一歩先手のプーチン大統領、シリアから兵力撤収を宣言

一歩先手のプーチン大統領、シリアから兵力撤収を宣言

Posted March. 16, 2016 07:19,   

Updated March. 16, 2016 07:26

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ロシアのプーチン大統領が、シリア内戦に軍隊を派遣して5ヵ月半で主要兵力の撤収を決めた。米国への事前通知もない電撃的な宣言だった。

プーチン大統領は昨年9月30日、シリアへの空爆を開始し、欧米世界を緊張させた。今度はシリア平和会談が行われる中、兵力撤収を通知した。プーチン大統領が、欧米の半歩先を行って主導権を握る様相だ。

プーチン大統領は14日夕方、クレムリンで国防相・外相と会議を行い、「(シリア事態と関連して)国防相に指示した目標が全般的に達成したと見る」とし、軍撤収の決定を下した。ロシア政府報道官は、この内容をシリアのアサド大統領に伝え、合意したと明らかにした。

ロシアは、アサド政権を支持し、昨年9月からシリアに攻勢を展開した。戦闘機が9000回以上出撃し、反政府軍の金脈である石油生産と運送基地209ヵ所を破壊した。特に、政府軍が首都ダマスカスをはじめ400の拠点を反政府軍から奪還するのに大いに貢献した。

プーチン大統領の撤収決定は、派兵を通じて期待した成果をほぼ収めたからだと、BBCは伝えた。ロシアが内戦に介入した時は、政府軍は崩壊直前に追い込まれていた。しかし、今はシリア西方のレバノンとの国境地域をほぼ奪還し、占領地が1万平方キロメートルに増えた。アサド政権に大きな影響力を行使できる根拠を確かにしたのだ。

プーチン大統領は、あり得るアサド政権の心変わりに備えて、外相にシリアの政治変化を注視するよう指示した。また、地上軍をはじめ主兵力を撤収する代わりに、フメイミム空軍基地に空軍力を残し、軍事的影響力を維持した。ニューヨーク・タイムズは、「ロシアの軍撤収決定は、アサド政権が安定状態に入ったという信頼の表示でもあり、アサド大統領にシリア内の政敵との協力を促す圧力でもあり得る」と分析した。

プーチン大統領は、一足早い軍撤収で、シリア内戦の終息に積極的に参加したというイメージを与えた。ウクライナに対する軍事介入とクリミア半島の編入で、欧米の非難と経済制裁を受けているロシアが、シリア事態を機に欧米との関係改善に乗り出したという分析もある。また内部的には、原油価格の低下で金脈が枯渇し、軍撤収決定を操り上げた可能性もあると、BBCは伝えた。

欧米は、ロシアの軍隊撤収を歓迎しながらも、プーチン大統領の内心を把握するのに奔走している。何より撤収がしっかり行われるのか疑念を抱いている。シリアに派遣されたロシア軍隊の正確な数も撤収される人員も把握されていない状況だ。プーチン大統領は15日から撤収開始を指示したが、完了時期は公表しなかった。撤収発表後、プーチン大統領と米国のオバマ大統領は電話会談で撤収に関する細部状況について話し合ったと、ホワイトハウスが明らかにした。アーネスト大統領報道官は、「ロシアの意図が何か確かめなければならない」と述べた。

ロシアは、シリア内戦の介入をテロとの戦いと主張し、爆撃も反政府軍や市民ではなく、過激派組織「イスラム国」(IS)のようなテロ集団に集中したと主張した。しかし、今回の撤収でその主張が目隠しにすぎなかったと分析されている。英紙ガーディアンは、「プーチン大統領は。『シリアで目標が達成した』とし、軍撤収を指示したが、ISは依然として旺盛に活動している」と指摘した。



황인찬기자 ファン・インチャン記者 hic@donga.com