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[東京小考]日中の衝突を防ぐことこそ韓国の使命

[東京小考]日中の衝突を防ぐことこそ韓国の使命

Posted October. 08, 2015 09:03,   

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 今やラグビーは日本のお家芸なのだろうか。つい先日、ラグビーのワールドカップで日本が強豪の南アフリカに歴史的勝利を挙げて世界を驚かせたが、その数日前には日本の国会で歴史的なラグビーが演じられた。

参議院の特別委員会で、与野党の議員が委員長席に殺到して激しく揉み合うなか、与党が安保法案の採決を強行したのだ。委員長が何を発言しているのかも、採決がどう行われたのかも、さっぱりわからなかったが、審判不在の大混乱の中でトライが成立したとみなされた。さらに翌日、本会議での採決を経て、日本は限定的ながらも集団的自衛権を使える国となった。

中国の軍事的な膨張など国際環境の変化が大きな理由なのだが、政府自ら長年「憲法違反」とみなしてきた集団的自衛権の行使を「憲法上可能」と180度変えたのだから驚くしかない。大半の憲法学者、それに元最高裁長官まで「違憲だ」と断言し、世論調査でも反対や慎重論が圧倒的な法案だった。

こうした声を背景に、盛り上がる反対デモが連日国会を取り巻いたが、与党は構わず強引に押し通した。これでも日本は民主主義国家だと言えるのか。何かといえば自由や民主主義などの「普遍的価値観」を掲げて外交を進める安倍晋三首相だが、そんな資格があるのだろうかと疑問がふくらむのだった。

だから私は今度の立法には大いに異議があるが、だからと言って「日本はいつでも戦争できる国になった」とか、ましてや「軍事国家の日本に戻る」などと見るのは見当違いだ。米国の戦争に後方支援という形で加担しやすくなったのは事実だが、実態はいわば米韓同盟の水準に近づいたというのが正確だろう。

しかも、右傾化が指摘される日本社会にあって、この法の成立とは裏腹に、世論に「反戦」の気持ちが依然として根強いことが浮き彫りになった。政治に無関心だった学生たち、子どもを抱えた母親たち。こういう人々が雨にも負けず、思い思いのプラカードをもって国会へ押し寄せる光景は、かつて見られないものだった。

この先、いざ危険な戦地への自衛隊派遣が現実になるとき、選挙を控えた議員たちが本当にこれを承認できるのか。もし自衛隊が異国の地で戦闘を演じ、死傷者を出すことになったとき、その現実を日本社会が受容できるのか。

しかも、それが司法によって憲法違反だと判断されれば、どういうことになるのか。安倍政権はそうしたことまで十分視野に入れて立法したとは思えない。

無謀な戦争を進めた末、70年前にみじめな敗戦を体験した日本社会には、戦争へのアレルギーが依然として強い。それは朝鮮戦争を体験し、いまも時に戦闘の緊張を味わっている韓国とは違う。そのことは徴兵に対する拒否反応の強さからもうかがえる。

さて、日本がこの先どっちに向かうのかは、北朝鮮の動向もさることながら、中国との緊張が増すかどうかによって違ってくる。日中は互いに自重しなければならないが、緊張緩和へカギを握りうるのは韓国ではないか。このところ韓国は何かにつけて中国寄りの姿勢を見せてきたが、問題はそれが日中の緊張緩和に役立たなかったことだ。

その意味でも、朴槿恵大統領のイニシアティブでこの秋、日中韓の首脳会談が実現するのは遅まきながらよいことだ。どうせならその前にニューヨークでの国連総会の機会に日韓首脳会談をしてほしかったが、ささやかながら挨拶を交わしただけでも前進だと見よう。

だが、朴大統領は国連演説で日本の安保法制に不安を示しながら、大きな軍拡を進める中国について何も触れなかったのはバランスを欠いていた。大統領は北京であれだけ大々的な軍事パレードを目の当たりにして、何も感じなかったのだろうか。

韓国はもっぱら朝鮮有事の際の自衛隊の行動が気になるようだが、もっとも心配すべきは日中が軍事衝突するケースだろう。日中が戦えば韓国が大変な目に合うことは歴史がしばしば証明してきた。日中の間にあって両国の軍拡競争を戒め、衝突を未然に防ぐことは、何よりも韓国の国益にかなう使命ではないか。

(若宮啓文 日本国際交流センター・シニアフェロー 前朝日新聞主筆)