Go to contents

[オピニオン]カストロのアディダスへの片思い

[オピニオン]カストロのアディダスへの片思い

Posted September. 22, 2015 07:05,   

한국어

キューバと米国の国交回復に向けた協議を仲介したローマ法王が20日、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長の自宅を訪れ、初めて顔を合わせた。普通の人なら、カトリック教会の首長に会う時は服装に気を使うが、カストロ前議長は3本のラインで有名なアディダスの「青いジャージ」をワイシャツの上に着た。カストロ前議長は、3年前、法王ベネディクト16世がキューバを訪問した時はマフラーをまいたコート姿で、1998年の法王ヨハネ・パウロ2世の時はスーツ姿で会った。89才なので、もう格式ばらないとも言えるが、特定ブランドへの執着も関係がありそうだ。

◆2006年8月、キューバ政府は当時、腸の手術を受けたカストロ前議長の写真を公開した。白に赤のラインが入ったアディダスのジャージを着ていた。するとアディダス社は、「我が社はキューバのオリンピック代表チームを後援するだけで、カストロ前議長とは何の関係もない」と慌てて釈明した。カストロ前議長が世界的な有名人でも、スポーツ業界最大市場の米国で嫌厭されるため、マーケティングでむしろマイナスになるかと心配したのだろう。

◆共産革命で権力の座に就いたカストロ前議長が普段から好んだ服装は軍服だった。生涯革命家として生きてきたので、手術まで受けた高齢であっても、カストロ前議長は患者服よりも運動服姿の写真を撮れば元気に見えると思って着始めた。ナイキやプーマの製品も身に着けたが、好みのブランドはアディダスだ。残念なことに、タイム誌は2010年、最悪の格好の世界の指導者10人を挙げ、「アディダス提供」というタイトルでカストロ前議長を取り上げた。カストロ前議長の屈辱なのか、アディダスの屈辱なのか。

◆昨年12月に米国と国交を回復し、キューバは長年の制裁から脱して低迷した経済の再生に乗り出した。北朝鮮では金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が輸入品の蔓延を叱責してから、メディアに登場する運動選手がアディダスなどのユニフォームのブランド名をテープで隠した。はばかることなくアディダスを着るカストロ前議長を見て、金第1書記も感じるところがあったのだろう。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com



eligius@donga.com