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ベートーベンに影響を与えた「大革命の作曲家」ケルビーニ

ベートーベンに影響を与えた「大革命の作曲家」ケルビーニ

Posted July. 14, 2015 07:30,   

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226年前の1789年の今日、群衆がフランス・パリのバスティーユ刑務所を襲撃しました。フランス革命の始まりでした。刑務所があった場所は、今は「すべての階層のための」オペラ劇場になっています。欧州の政治的地形に劣らぬほど、革命は大陸全体の文化的地形も変えました。「音楽の聖者」ベートーベンも、革命の影響を受けた巨人の一人と言えます。

ベートーベンはオーストリアで活動したドイツ人なのに、どうしてフランス革命と関係があるの?と聞き返されるかもしれませんが、フランスに近いボンで生まれたベートーベンは19世紀、隣国で勃発した革命に心情的支持を送りました。彼は共和国指導者ナポレオンに捧げた交響曲3番を書きましたが、ナポレオンが皇帝に即位したことを知り、憤って表紙を破いたというエピソードは広く知られていますね。しかしその後も彼は、革命が打ち出した「自由、平等、博愛」の理念に生涯共感しました。

特に、ベートーベンは革命期フランス音楽界の巨頭だったイタリア人のルイジ・ケルビーニ(1760〜1842)の音楽に深く感銘を受け、彼を同時代の音楽家の最高峰とみなしました。ベートーベンのただ一つのオペラ「フィデリオ」も、ケルビーニとフランス人のエティエンヌ・ニコラ・メユール(1763〜1817)が主導した、いわば「救出オペラ」の流れを組む作品と言えるでしょう。革命期フランスでは、愛国の志士が無念にも刑務所に入れられ、英雄的に救出される「救出オペラ」が人気を集め、ケルビーニとメユールがこのような作品を複数書きました。

よく「運命交響曲」と呼ばれているベートーベンの交響曲第5番の始まりの部分のダイナミックなリズムも、ケルビーニの「パンテオン賛歌」からインスピレーションを得たという学説が、1990年代に持ち上がったことがあります。フランスが欧州全体で戦争を引き起こし、ベートーベンは彼らの膨張主義に嫌悪を示しましたが、フランス勢力が掲げた自由で平等な世界像には喜んで賛辞を送りました。ベートーベンの音楽が19世紀半ば以降、欧州社会で「正典」となったのは、政治的役割が限られた市民階級がベートーベンの音楽を聴きながら、保守的政治体制への反抗心を解消したことも、理由の一つでした。

暑い夏、ベートーベンのインスピレーションの源だった「レクイエム(鎮魂のミサ曲)」など、ケルビーニの作品を聞くことも意味のあることでしょう。



gustav@donga.com