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ウイルスの起源をめぐる三つの仮説

Posted June. 06, 2015 07:16,   

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「自分の力では生きることができず、周りの環境を利用して繁殖する非細胞性生命体」

ウイルスを一言でいうなら、このように定義することができる。細胞ではないが、遺伝情報を持ている。これに、人間や細菌、ミカンの木、カビなど、地球上のほぼすべての生物を利用してひっきりなしに自分を複製していくという点で、生命体とみなすことができる。

そもそもウイルスとはどこでどのように生まれてきたのだろう。専門家たちは遺伝情報の分析結果に基づき、大きく3つの仮説を立てた。

まず「細胞退化説」は、正常な細胞が退化してゲノムと外皮たんぱく質が残り、ウイルスになったという学説だ。天然痘を引き起こすポックスウイルスと、帯状疱疹を引き起こすヘルペスウイルスのゲノムが人間のような二本鎖DNAになっている上、80〜100個の遺伝子があるということが、主な根拠として挙げられる。

しかしこの仮説だけでは、全体ウイルス種類の半分を超えるRNAウイルスの起源を説明できない。細胞はDNAだけで遺伝情報を保存するが、一部のウイルスはRNAを利用するからだ。

そこで登場したのが、「細胞脱出説」だ。この仮説は細胞ゲノムの一部が細胞を脱し、自己複製と外部環境の変化に応じて自らを保護するために必要な外皮を作るたんぱく質を得て、ウイルスが誕生したと説明する。人間に小児マヒを引き起こすポリオウイルス、大豆と植物を宿主とするコモウイルス、蚊と哺乳動物を行き来するシンドビスウイルスなどは、宿主と活動領域が完全に違うように見える。しかしこれらのゲノムは、細胞の中にある伝令RNA(mRNA)と構造が酷似していることが、細胞脱出説を支持する根拠となっている。

ウィルスと細胞の起源を区分する「独立起源説」もある。この仮説は、ウイルスと細胞がそれぞれ独立的に出発し、お互いの進化に影響しながら現在に至ったものと推測する。例えば、レトロウイルスは例外なく、RNAの遺伝子情報をDNAに転写する「逆転写酵素」遺伝子を持っている。現存する細胞性生物では、逆転写酵素の活動は極めて限られている。レトロウイルスの親戚に当たるレトロトランスポゾンに由来したケースがほとんどだ。

ウイルスの起源はまだ明確に解明されていないが、注目すべきことは各ウイルスが人間の活動の影響を受け、「活動区域」が次第に早いスピードで混じり合っているということだ。

慶熙(キョンヒ)大学生物学科のチョン・ヨンソク教授は、「自然では出会うことのない植物や動物を同じ空間に置いたり、人間自らが新しいウイルスの活動区域に入ることで、ウイルスの活動領域は混じり始めた」とした上で、「今後新しいウイルスの出現はさらに頻繁になるだろう」と予想した。



jxabbey@donga.com