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[東京小考] 三兄弟、長い葛藤の物語

Posted July. 03, 2014 04:06,   

Updated January. 01, 1970 09:00

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昔昔、ある村に三人の兄弟が隣り合わせて住んでいました。長男は子供のころから漢字をはじめ、多くのことを弟たちに教えました。末っ子は勉強好きな次男にもいろいろと習って育ちました。

でも、体力に恵まれない次男に比べて末っ子は元気よく、ちょっと欲張りだったので、次男に刃向うこともありました。それでもすぐ仲直りしたものです。

そんな兄弟たちを恐怖に陥れたのは、外から肌の色の違う人々が入ってきてからです。長男が痛めつけられるのを見た末っ子は、いち早く外から多くを吸収し、喧嘩の仕方も鍛えました。兄たちにも影響を与えたのですが、やがて次男を守ってやるといって強引に敷地を占領し、自分の家にしてしまったのです。

思い上がった末っ子は、長男にも挑みかかりました。一家の支配を狙ったのです。激しい兄弟喧嘩になりましたが、末っ子が隣村のボスまで敵にしたのが運のつき。結局はボスにこっぴどく殴られ、家も焼かれてしまったのです。

その後、心を入れ替えた末っ子は、ボスの手厚い保護のもと、ひたすら商売に精を出して成功します。でも、次男には次の悲劇が待っていました。

実は、次男には問題児となって家出した双子の弟が北方にいて、彼が殴りかかってきたのです。血みどろの喧嘩になり、やはり隣村のボスに救われたのですが、そのとき喧嘩に加わって次男を苦しめたのが長男でした。隣のボスと反目していた長男は、北の問題児とすっかり仲良くなっていました。

そのころ末っ子はこの喧嘩を横でながめながら、商売繁盛の道を歩んだのですが、それでもボスの後ろで何かと手伝い、次男を応援しました。そして、長い話合いの末、やがて次男と仲直りし、破壊された家の再建に協力します。かつての恨みが消えなかった次男も、豊かになった末っ子と手を結んで力をつけるのが得策だと考えたのです。こうして次男も見違えるように元気になり、家も立派になって行きました。

時代は進み、末っ子は長男とも劇的に仲直りします。長男も貧しさから脱するには、やはり末っ子の協力が必要だったようで、しばらく蜜月の関係が続きました。長男と次男のにらみ合いが続く中で、末っ子は両者とうまく付き合ったわけです。過去に兄たちに悪さをしたことを反省し、謝罪もして、一家の平和に尽くしてきたつもりでした。

ところが、さらに時代は変わります。いつの間にか長男と次男も仲直りしていたのですが、長男は恵まれた体力と能力を生かして、どんどん商売を発展させ、末っ子をしのぐ勢いになりました。次男にとっても、長男は末っ子より頼もしい存在になったのです。

一方で、反省ばかり求められてきた末っ子には自尊心もあり、反発の言動が出てきて二人の兄を怒らせます。敷地の境界争いも火を噴き始め、二人は末っ子と目も合わせぬまま、一緒に「過去」を突きつけるようになりました。

兄たちにとっては、なかなか過去の傷が癒えないのですが、「反省しろ」「謝れ」と言われ続けた末っ子も心の傷がうずきます。「いつまで謝ればいいのか」「仲直りして、あれだけ協力したのに…」と。

さて、商売の成功とともに昔日の栄光を取り戻したい長男は、せっせと腕力も鍛え、村の内外から警戒と反発を買い始めました。これに対抗しようと、末っ子はボスのご機嫌をとり、ボスの危機には駆けつけますと言い出します。喧嘩は一切ごめんだといってきた末っ子の変身は、また兄たちの警戒を招きました。

そんな中で、長男が次男の家を訪問します。末っ子は目をしかめますが、それは北の問題児も同じこと。末っ子と問題児が急接近したのも理由あることかも知れませんが、話が複雑になるので、それには触れずにおきましょう。

自分が人にされた恨みはよく覚えているのに、人を傷つけたことや、してもらった恩は忘れてしまう。そんな人間が多い中で、次男が長男に示す寛容は見上げたものでしょうが、それだけなら長男の思うツボ。その寛容を弟にも示しつつ、みんな謙虚に仲良くしようと旗を振れば、次男の株は大いにあがるでしょうに、さてどうなりますか…。長い長い三兄弟の葛藤物語、続きはまたに致します。

(若宮啓文 日本国際交流センター・シニアフェロー 前朝日新聞主筆)