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[オピニオン]「最高よ、李純信」と「不滅の李舜臣」

[オピニオン]「最高よ、李純信」と「不滅の李舜臣」

Posted March. 13, 2013 05:35,   

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「私を英国のネルソンと比べるのはかまわないが、朝鮮の李舜臣(イ・スンシン)とは比べないでほしい。私は彼の足元にも及ばない」。日露戦争当時、日本連合艦隊司令官を務め、1905年、ロシア・バルチック艦隊を全滅させた東郷平八郎の言葉だ。周辺から自分が李舜臣と同級に称えられた時、東郷提督は、頭を横に振った。壬辰倭亂(文禄慶弔の役)の時、豊臣秀吉の軍隊に惨北を抱かせた敵将に対し、彼が無限の尊敬心を表した理由は明快だった。ネルソン提督は、有から有を創造したのに比べ、李舜臣は無から有を創造した人物だというのが、彼の答えだった。

◆1592年、忠武公(李舜臣の雅号)が亀甲船を率いて、日本の水軍を打ち破った閑山(ハンサン)大勝や1805年、ネルソン提督がフランスとエスパーニャの連合艦隊を撃破したトラファルガー海戦は、世界海戦史では、不朽の伝説となっている。二人は、東西洋を代表する海軍名将という共通点があるが、歩んだ道は全く異なった。ネルソンが強力な国の支援の中で勝利をあげ、国民的英雄になったというなら、忠武公は、激しい党派の争いやけん制に巻き込まれ、監獄に入れられながら不滅の神話を残した。人妻だったエマ・へミルトンと情熱的なロマンスに陥っていたネルソンとは違って、忠武公は、人間的な面でも一寸の乱れもなかった。

◆最近、李舜臣をタイトルにしたKBSの週末ドラマが混乱を招いている。人気歌手のアイユが主演を演じている「最高よ、李純信」は、これといった取り柄のない女主人公が、困難を乗り越えて大スターになる成功物語を描く予定だ。このドラマの影響を受け、ネット上で李舜臣を検索すれば、「アイユ」が先に出てくるなど、とんでもない状況が起き、海外留学生らで構成された市民団体が一昨日、裁判所に、李舜臣の名前の使用禁止の仮処分申請を提出した。タイトルも問題だが、「うちの会社ではなく、独島(トクド、日本名=竹島)を守りなさい」、「この100ウォン物め」という台詞も議論を呼んでいる。

◆テレビ局は内心、議論を楽しんでいるかのように微動だにしない。制作陣は、「アイユの劇中の名前である李純信(イ・スンシン)は、将軍の李舜臣とは漢字が違う。将軍のように不屈の意志で、逆境を乗り切ることをお見せしたいという純粋な狙いから付けられたものだ」と主張している。「傷だらけの韓国社会に暖かいねぎらいを贈る」というのが、企画の狙いだという。しかし、視聴者掲示板には、テレビ局の「ノイズマーケティングだ」とし、「日本は戦争犯罪者を英雄に作り上げているのに、どうして韓国は、自国の偉人のイメージを貶(おとし)めるのか」、「公共放送が最も偉大な人物の一人を、商業化させた」などの糾弾する意見が多く掲載されている。KBSは04年も、「不滅の李舜臣」で、傷だらけの韓国社会に、正義は必ず勝利するというねぎらいを与えたのに、その時の「李舜臣」をいまだに忘れていないようだ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com