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中国居住の北朝鮮住民、「国籍放棄」ブーム

中国居住の北朝鮮住民、「国籍放棄」ブーム

Posted January. 05, 2011 08:43,   

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1ヵ月前、中国のある地方紙が報じた北朝鮮国籍者に関する内容が、少なからぬ波紋を呼んでいる。中国に住む北朝鮮国籍者の国籍放棄を触発したのだ。

理由はこうだ。昨年11月18日、江蘇省南京の地方紙「揚子晩報」は、中国で53年間暮らしている北朝鮮国籍の60代の女性が、最近、中国国籍を取得したと報じた。この女性は、江蘇省鎮江市に住む金ジョンジャさん(61)で、鎮江市の公安局が発給する「中華人民共和国入籍証書」を受け取り、明るく微笑む姿が新聞に掲載された。金さんが鎮江市で中国国籍を取得した初めての外国人だったため、報道したようだ。

金さんは中国に住む北朝鮮国籍者で、いわゆる「朝僑」だった。50年に中国で生まれたが、朝鮮族の父親が亡くなると、58年に母親や親戚とともに北朝鮮に行き、北朝鮮国籍を取得した。その後、平壌(ピョンヤン)で65年まで約7年間暮らし、小・中学校を終えたが、15才になった65年、再び家族とともに中国に戻った。金さんはその後、中国人の夫と暮らしてきた。中国語も流暢で、現地の風習にも馴染んでいたが、身分は「外国人」だった。金さんは、「いつも外国人のレッテルが付いて回った。ホテルを取ることが難しく、中国の銀行を利用するのにも制約があった」と話した。

さほど注目されないこのニュースは、70余りの中国のウェブサイトに転載された。金さんと同じような境遇の朝僑が多く居住する吉林など、中国東北地方の新聞にも掲載された。その後、約3000人と推算される朝僑が、先を争って、北朝鮮国籍を放棄する動きを見せているという。北京の消息筋によると、中国の北朝鮮公館には、朝僑の問い合わせが殺到しているという。外国人が中国国籍を取得するには、地方公安局の審査を受けなければならず、北朝鮮公館で発給する国籍放棄確認書を提出しなければならないためだ。

彼らが数十年間維持してきた北朝鮮国籍を放棄する理由は、中国の社会セーフティネットを利用するためだ。大半が60代以上の高齢者だが、外国人であるため、健康保険や最低生計費支援などの社会セーフティネットから排除されている。

このような状況になり、北朝鮮当局は、中国新聞の報道に不快感を示し、駐中公館に、確認書を交付しないよう指示を下したという。しかし、公安にコネさえあれば中国国籍を取得できる「ノウハウ」が朝僑の間に共有されるなど、波紋は簡単には静まりそうにない。



mungchii@donga.com