韓国の代表的な企業が下半期の経済環境が不透明になるという判断から、現金など「即時に使える資金」(流動性)の確保に乗り出している。現金を確保することで万一の事態に備える一方で、収益性が期待される事業にコアコンピダンスを集中させるためだ。
これらの大企業はこれに加えて、最近売上目標と利益目標を大きく下げるなど、年初に立てた今年の経営目標を第1・4半期に下方修正したのに続き、さらに縮小する構えだ。これは、世界的な景気低迷で国内景気が再び予測不可能な状態になりつつあるからだ。
今月の22日、業界によると三星(サムスン)電子、現代(ヒョンデ)自動車、LG化学、浦項(ポハン)製鉄、SK(株)など韓国を代表する大企業は、今年の下半期に「流動性確保」と「コスト低減」を柱とする経営戦略を立てる作業に乗り出している。良い条件で資金を調達するために「信用格付けの上昇」にも力を注いでいる。
▲社債発行規模が3倍以上増え〓今年の上半期に1ヵ月平均1兆ウォンに止まっていた社債発行規模は、今月に入って3兆4000億〜3兆8000億ウォンになると見られる。これは企業の現金確保の熱気がどれだけ熱いかを示している。韓国銀行によると今年1・4半期中に国内企業は計18兆4450億ウォンの資金を調達し、この中で7兆1600億ウォンだけを運用したことが分かった。このように資金を備蓄する動きは日増しに目立っている。
大企業は、新たに確保した現金で「儲かる事業」と収益性の高い「新事業」に集中投資するという思惑だ。
▲投資規模と費用を最大限減らす〓三星グループは三星電子など、主力系列会社の上半期の経営実績が当初の予想より振るわなかったことから、下半期の投資を縮小して各種経費を減らす緊縮経営に突入した。三星電子の場合、今年の設備投資規模を6兆1000億ウォンから5兆1000億ウォンに減らすことにした。三星SDI、三星電気など他の系列会社も投資を縮小し始めている。
LG電子は先月から経常費を20%ほど削減しており、保有中の新世紀(シンセギ)通信の株式260万株も売却する方針だ。SKグループはグループ全体で今年4兆6000億ウォンの投資計画を立てたが、資金確保のために投資規模を10%減らした。
韓進(ハンジン)、ハンソル、韓化(ハンファ)、錦胡(クムホ)、東部(トンブ)グループなども、不動産売却や資産担保付証券(ABS)などの有価証券の発行を通じて現金を確保する計画だ。
▲信用格付けの上昇を目指す〓現代経済研究院の関係者は「企業の信用格付けが上方修正されれば、資金作りにかかる努力と費用が半分で済む」とし、「企業が信用格付けの上方修正を期待しているのもそのため」と述べた。
現代自動車の場合、下半期に満期が到来する社債規模は9600億ウォン程度。現代自動車は最近信用格付けが上がったため、社債借換え発行が無難なものと予想している。現代自動車の関係者は「現在、資金繰りが悪くはないが、景気低迷などに備えて流動性確保に力を入れている」と話している。
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