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他人の家の所帯道具を調査して何をするつもり?

他人の家の所帯道具を調査して何をするつもり?

Posted April. 26, 2019 08:37,   

Updated April. 26, 2019 08:37

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年明けから漁村に居住しながら海洋文化を調査する筆者は、夏になると頭が痛い。住民とある程度の親交ができた時点でしかできない「変な調査」のせいだ。

ほかならぬとある家庭を選んで、自宅の中のすべての所帯道具の一つ一つを撮影し、個々のものごとに配置された位置、入手時期、用途、機能、価格、寸法などを細かく記録することだ。この変な調査には、冷蔵庫の食べ物からラブレター、さらには下着まで例外がない。家の中のものだけでなく、耕作地のビニールハウスに保管された農機具、港に停泊されている漁船や様々な漁業ツール、車両に載せられたものなど、家族のメンバーが所有するすべての所帯道具を調査する。調査員3、4人が午前から夕方まで、毎日のように家族のものを取り出しては仕舞うことを繰り返す。

このような不思議な作業を誰がたやすく承諾するだろうか?長い説得を通じて許可を得ても、数多い困難が待っている。いざ調査を開始すると、所有者の立場では、家の中の隅々に置かれたものが目の前で出入りし、所帯道具一つ一つの情報を話すことは極めて厄介なことのはず。毎日のように後悔する所有者をなだめながら調査を進める。

これは、誰が、いつ、どこで、何を、どのように、なぜ使用するのかを明らかにして、ものの意味まで把握するためだ。何の意味もないように見える領収書や、小さなメモ用紙がとある人の人生を説明する重要なパラメータになることもある。人と物との間の特別な関係は、時代と空間と人を理解する手がかりと言える。所帯道具の調査を通じた記録物は、現代の生活ぶりを見せる「タイムカプセル」なので、将来のための作業でもある。

数年前のことだ。日本植民地時代に日本人の船員たちが居住していた敵産家屋がそのまま残っている家があった。窓の内側を見て、びっくりした。日本植民地時代に使った様々な家具と歳月の痕跡が積もっている尋常でないものでいっぱいだったからだ。この家を調査するために、数ヶ月間精魂をつぎ込んだ。自宅の所有者が木陰で休んでいれば、隣に座って声をかけた。合間を見てはその宅を訪れて親交を深めた。そのように数ヶ月間努力した後、ようやくその所有者は所帯道具の記録を許可した。ところが、調査初日から難関に直面した。敵産家屋の出入口は様々なゴミで、すべての部屋は天井まで積まれたもので遮られて、一歩も入ることができなかった。30数年間倉庫として使ったから、当然かもしれない。調査員4人がまるまる一週間で清掃した。数十年間積もった汚れを落とし、床に放置されたラットや虫の死骸などを片付け、ゴミを片付けると、8トントラック一台分の廃棄物が出てきた。

清掃後、一つ一つの物を調べるたびに感心した。小さな建物全体が近現代史の博物館を連想させた。70〜80年前への時間旅行をする気持ちというか。撮影と記録を終了後、敵産家屋を保存できる方案を講じたいと、あちこちに走り回ったがままならなかった。その後、筆者は村を去り、全国の海を回りながら調査するために、忘れて暮らした。是非大切な空間がそのまま残っているように願いながら、今年はあそこに行ってみよう。