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悪い寄付はない

Posted April. 22, 2019 08:41,   

Updated April. 22, 2019 08:41

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世界金融危機の余波が続いていた2009年5月、韓国ゴルフ界は岐路に立っていた。企業の状況が苦しくなり、年初のメジャー大会であるSKTオープンが開かれるか不透明な状態だった。大企業が後援する大会が開かれなければ、その年に予定された他の大会も次々に中止になる可能性が高かった。韓国プロゴルフ協会(KPGA)のパク・サムグ会長(当時)と崔泰源(チェ・テウォン)SK会長が膝を突き合わせて考えたが、大会開催は困難な状況に傾いていた。

この状況を解決したのが、プロゴルファーの崔京周(チェ・キョンジュ)だった。彼は当時、約10億ウォンの招待料を放棄するとSKTに伝えた。崔京周の言葉だ。「私が招待料を放棄することで後輩が大会に参加する機会ができるなら、少しも惜しくない」。崔会長は崔京周財団に2億ウォンを寄付する方法で費用を抑え、ゴルフ大会を開催した。

崔京周がしたことは、一種の寄付行為と見ることができる。最盛期の世界トップのゴルファーが受けるべき招待料を放棄することで、後輩のために使うことができたからだ。

韓国社会では常にどこかで問題が起きるが、時には隠れた、時には現れた「善良な意志」で無理なくまわることが多い。寄付が代表的だ。しかし、このような寄付活動の善意に対する歪んだ視線があるようで残念だ。

火災が起きたノートルダム大聖堂の修復のためにフランスの富豪らが巨額を寄付すると、「黄色いベスト」デモ隊は、「その金を貧困層のために使え」とか「税の恩恵を受けるため」と批判した。韓国も然りだ。先日の江原(カンウォン)地域での火災の時、被害住民のために歌手のIUが1億ウォンを寄付し、芸能界や企業の寄付が続いた。しかし、IUに対して、「特定財団だけを通じて寄付をするのを見ると、ある種の恩恵を狙った怪しい寄付だ」という非難が登場した。財団が直ちに「IUは様々な団体を通じて様々な方法で寄付活動をしている」と説明したことで、すぐに収まった。タレントのユ・ジェソクは5千万ウォンを寄付したが、「収入に比べて少ない」という非難を受けた。

企業も金額が少ないと非難されはしないか心配するなど、寄付をしながらも顔色をうかがうことが多くなった。実際、ある大企業は、江原地域の火災に寄付し、企業の規模に合わず少ないと非難されるか心配し、発表すべきかどうか悩んだ。資金執行の透明性を高めよという社会的要請によって、この企業が理事会を開かなくても執行できる最大限の金額をしてもだ。

こうしたことが起こる理由は、善意で繕って利益を得ようとしているのではないかと疑うためだ。しかし、寄付で個人や企業が称賛を少し受ければ、また、法によって税金を還付されれば、それは悪い寄付なのか。韓国社会に寄付文化が浸透せず、寄付は他人事だと収入の多い「他人」は当然寄付しなければならないが、「私」は寄付とは何の関係もないと考えるからではでないのか。

金を出すことだけが寄付ではないだろう。自分の現在が本人の努力だけでなく、社会の助けによるという考え方、ゆえに何であれ社会に返さなければならないという考えが土台になった行為が、すべて寄付だと考える。全北(チョンブク)大学医学部で家庭医学科レジデント課程を受けている64歳のファン・ハス元統一部南北会談本部長、京畿道広州市(キョンギド・クァンジュシ)で図書館の管理をする55歳の元塾講師は、「社会から受けたことを返したい」と第2の人生を選択した。ファン氏は、小都市で医療奉仕をすることを望み、元塾講師は子どもたちの勉強を他の方法で助けたいと考えている。彼らは寄付者だ。寄付は特別な人がするものではなく、各自がすることという認識が広がることを望む。そうすれば他人の寄付に対して善意か悪意かを問わず「当然だが有難いこと」という共感ができるのではないだろうか。


ハ・イムスク記者 artemes@donga.com