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汚いゴミ? 私たちが暮らしていく資源

Posted August. 14, 2018 08:34,   

Updated August. 14, 2018 08:34

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小型トラック2台がやっと通れるほどの狭い非舗装道路を、ゴミを積んだトラックや馬車が休む暇なく行き来する。道が所々へこんでいるため、ガタガタ音を立てる。そのたびにトラックの荷台のゴミの山からハエの群れが飛び出す。路地にはゴミが散在し、悪臭がした。村全体が巨大なゴミ袋の中のようだった。

エジプトの首都カイロ市内のモカタム地域、別名「ゴミの街」と呼ばれる所だ。ここの住民は、カイロ全域から出る生活ゴミを集めた後、分別してリサイクルが可能なものを売って生計を立てている。分別回収されていない黒い袋に入ったゴミを手であさって、ビニールやプラスチック、くず鉄など金になるリサイクルゴミを選ぶ。生ゴミは羊やヤギなど家畜の餌に使う。

気温が40℃まで上がった8日、ゴミの街で会ったムハンマドさん(42)はいつものようにゴミを分別して一日を送っていた。モカタムで生まれ育ったムハンマドさんは2人の子どもの父親で、1日中働いて約100エジプトポンド(約6千ウォン)を得る。2ヵ月前、ゴミ切断機に指を挟む事故に遭い、最近は12歳の娘が仕事を手伝っている。

彼らは、エジプトでは「チャバリン」と呼ぶ。アラビア語で、ゴミまたはゴミ箱を意味する「チバラ」から派生したというチャバリンは「ゴミを集める人」、「ゴミとともに生きる人」という意味だ。カイロでチャバリンが集まって暮らす街は5ヵ所。このうち3万人ほどのチャバリンが集まるモカタムが最も大きな街だ。

モハメドさんは、「人々はゴミを汚いと言うが、私たちが暮らしていく大切な資源だ。恥ずかしくない。ゴミを片づけて整理するチャバリンもカイロの大切な資源だと考える」と話した。

ゴミの街の住民の多くは、手首や首に小さな十字架のタトゥーがある。古代キリスト教の一分派であるコプトの象徴だ。全人口の約90%がイスラム教徒であるエジプトで、コプトは長年、差別と迫害を受け、汚く危険なことの多くを彼らが担い、チャバリンを業として暮らすことになったのだ。エジプトの現地メディアによると、カイロで毎日あふれ出る全体のゴミの約80%が5つのゴミの街に集まる。

エジプト内で最貧民層に属する彼らが、ゴミの街から抜け出すことは難しい。劣悪な住居環境も問題だが、チャバリンの二世たちの多くは学校に行っていないため読み書きができない。幼い時から親とともにゴミの山の中で暮らし、貧困を継承するケースが大半だ。最近、エジプトでは経済が低迷して貧富格差が拡大し、チャバリンになるために自らゴミの街に来る人も少なくない。


徐東一 dong@donga.com