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現代自動車が開発した「AIカードクター」、車の音を聞いて故障部位を特定

現代自動車が開発した「AIカードクター」、車の音を聞いて故障部位を特定

Posted July. 20, 2018 09:28,   

Updated July. 20, 2018 09:28

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故障した自動車で微細な異常音が出る。人は気づくことができないが、人工知能(AI)は音を聞いて原因を分析する。蓄積されたビッグデータで判読した結果、ターボチャージャー(出力を高めるエンジン補助装置)の加速気流音の異常である確率が94%。人間だったらエンジンを分解して、短くは数時間、長くは数日がかかったはずのプロセスである。しかし、AIはわずか数秒内で終わった。そして正確だった。遠い未来の話ではない。現代(ヒョンデ)自動車が技術開発に成功した。

世界の自動車業界では初めて、現代自動車がAIとディープラーニングを利用して、ノイズで車両の故障如何を判別し、診断まで下す技術を開発した。早ければ来年から全国の現代自動車修理センターに適用する。AIが車の故障を判読する風景を見ることができるようになる。

17日に訪れた京畿華城市(キョンギ・ファソンシ)にある現代・起亜(キア)自動車のナムヤン研究所内のエンジンNVHリサーチラボの無響室では、ガソリンエンジンから音を引き出す作業が盛んだった。ヘッドセットをつけた現代自研究開発本部エンジンNVHリサーチラボのチョン・インス研究員(53)が、長いマイクをエンジンの隅々に当てていた。耳で聞いた時はただうるさかったエンジンだったが、各部位に絞ると、お互いに異なる音がした。AIが学習する音を抽出するところだった。チョン研究委員は、「工場や研究所で採取した音がほとんどだが、学習のために人為的にエンジンを故障させて作った音もかなりある」と説明した。

現代自が開発に着手したきっかけは、ひょんなことに「会食」だった。 2015年、研究所での忘年会の席でとある出席者が箸で食卓を叩いた。「音だけを聞いて、これが何の音なのか当てられるだろうか?」。その時、チョン研究委員の頭の中に「騒音で車を診断する」というアイデアがかすめた。

チョン研究委員と同僚の研究者たちは、簡単な音響サンプルを作って、漢陽(ハンヤン)大学融合電子工学部の張埈赫(チャン・ジュンヒョク)教授(音声音響オーディオ信号処理研究室)を訪ねた。音声とサウンドの分野では国内最高権威者だった。彼らは議論の末、「十分可能性がある」と判断して、共同研究開発に着手した。

開発は、①音のデータの収集、②分析、③音の特徴抽出、④人工知能ソフトウェア(SW)の開発と学習、⑤実際の診断と精度向上の順に行われた。

目標を最も多く使われる「ガソリンエンジン」で決めた後、計830個の音のサンプルを収集した。そして、これを部品の故障種類に応じて、18類型、44個の詳細類型に再分類した。研究者たちは、音をAIが認識できるように、時間と周波数の単位に分割して分析した。エンジンNVHリサーチラボのイ・ドンチョル責任研究員は、「最初は夜を明かすほど長くかかったが、今では1時間に6個程度分析を終える」と話した。

AI開発までを終えた後は、「勉強させる作業」が続いた。AIは人間が作ったが、一度学習を開始すると、自ら複雑なプロセスを経て、精度を上げていった。最近、エンジン騒音分野の専門家十数人が、現代自動車が開発したAIと対戦した。その結果は驚くべきものだった。人間チームの正解率は8.6%、AIの精度は87.6%だった。現代自は精度を年末まで90%以上に高める計画だ。

今後はより高度な形のサービスと他の産業分野への拡大も予想される。AIを最初から車両に搭載して故障を診断したり、自動車生産ラインの最後に配置して、新車の異常有無をわきまえることもできる。音に振動、温度などの他の要素を結合させて、精度を高めることも可能である。車だけでなく、機械でできたすべてのものに適用できる。

現代自は、すでに韓国をはじめ、ドイツ、日本など各国で特許を出願している。チョン研究委員は、「電気自動車の電気モーターの騒音など、他のデータもすでに集めており、技術の適用領域はさらに増えるだろう」と語った。


李恩澤 nabi@donga.com