「最後までやるんだ!もう少しだ!」
大きな声が韓国代表の練習場に鳴り響く。鋭い目つきで選手たちの動きを観察する。口数は少ないが、力いっぱい拍手を送りながら後輩たちが厳しいトレーニングメニューをこなせるよう元気付ける。選手たちの雰囲気を調整する代表チームの「バットコーチ」金南一(キム・ナムイル)コーチ(41)だ。代表チームに合流する際、「気持ちでは(雰囲気を引き締めるために)バットを使ってでも葉っぱをかけたい気持ちだ」と言って、この異名がついた。
「準備過程を振り返ると、物凄く苦しかったし、プレッシャーも多かった。メディアが報じる1本の記事にも選手たちは大きく受け止めたようだ」
カリスマ性溢れる金氏だが、一番気を使っているのは選手たちのデリケートな心理状態だ。実際練習場を離れると優しいコーチに一変すると、選手たちは話す。金氏は「物凄く鋭敏になっている時期だ。全てが、受け止め方次第だが、選手が感じる重圧が大きいので、やっぱりロシアでの初戦を戦う時は心理的な問題が大きいと思う。選手たちが、無事それらを乗り越えてもらいたい」と話した。また「2002年、2006年、2010年を振り返ってみると、物凄く大変だったけど、そういう過程があったからこそ、結果を出すことができた。結局、選手自信が甘受しなければならない問題だとも思う。しかし、一人で背負うよりは、同僚や先輩後輩と少しずつ分け合い、また同僚、先輩後輩がそういうところを理解してあげるなら、もう少し軽い気持ちで試合に臨めると思う」と話した。その上で、「もう少し時間をかけて、私が経験したことを話してあげたい」とも語った。
最善の結果を出してもらいたいと望んでいるのは、申台龍(シン・テヨン)監督や選手だけでなく、コーチ陣も同じ気持ちだ。コーチ陣の指導スタイルは異なるが、決戦を目前にした選手たちへの配慮や励ましの言葉、そして心からの言い聞かせたいことには変わりがない。
コーチのチャ・ドゥリ氏(38)は金氏とはやや違うスタイルを見せている。選手たちとコーチ陣が練習を兼ねて足球(チョック)をする時、チャ氏はオーバーヘッドキックを蹴りながら、現役選手に負けない運動神経を発揮した。選手たちに近寄ってジョークも飛ばす。一緒に運動をする同僚もしくは兄貴のようだ。「最近奇誠庸(キ・ソンヨン)の表情がよくない」という指摘について、チャ氏は「格好つけているんです。主将は重みがなければならないから」と笑った。国際Aマッチデビュー(昨年11月のセルビア戦)を控えたGKチョ・ヒョンウ(大邱)に寄り添って、「今後100回はもっとAマッチに出るという気持ちで、デビュー戦で頑張ってくれ」と話しかけ、緊張を解してあげた。最近まで代表チームと所属クラブで一緒にプレーした選手たちがいるので、(選手たちが)軽い気持ちで悩み事を打ち明けるのがチャ氏だ。そのチャ氏も選手たちの緊張を解してあけることに多くの気を使っている。
金氏とチャ氏など韓国人コーチが選手たちをリラックスさせたり自信を持たせるなど心理面に力を入れているのに対し、外国人コーチたちは選手たちのフィジカル問題に神経を使っている。彼らは、よりタフなプレーを呼びかけてきた。
鄭允喆 trigger@donga.com