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地震防災で鍛えられた日本の警報システム

地震防災で鍛えられた日本の警報システム

Posted September. 02, 2017 08:14,   

Updated September. 02, 2017 08:30

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「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい」

先月29日午前6時2分。北海道など東北地域の12道県の野外スピーカーから警報音が鳴った。これと同時に、住民のスマートフォンに緊急メッセージが到着した。テレビは正規の放送を中断し、北朝鮮のミサイル発射の速報を流した。ミサイルが日本の上空を通過する4分前のことだった。住民は家の中で安全な場所を探し、一部は指定された避難所に避難した。

日本がこのように速かに警報を送ることができたのは、全国瞬時警報システム(Jアラート)のおかげだ。緊急事態が発生すれば、人工衛星を通じて野外スピーカー、携帯電話、テレビ、ラジオなどで国民に警報を伝えるシステムだ。北朝鮮のミサイル発射時に発令されたのは今回が初めてだった。

日本政府の対応も迅速だった。ミサイル発射を確認した安倍晋三首相は、発射4分後の午前6時1分、万全の体制を整えるよう指示した。海上保安庁は2分後に航行警報を発令し、それから1分後、国土交通省は飛行中の航空機に注意を促した。政府は、Jアラートと緊急情報ネットワークシステム(エムネット)を使って1時間に6回、警報を流した。JR東日本は午前6時から最大32分間、列車の運行を停止した。小・中・高校と幼稚園の48校が登校時間を遅らせ、4校は休校を決めた。

全世界の強震の20%以上が起こる日本は、どの国よりも災害発生などの非常事態への備えが徹底している。政府は、関東大地震が起きた9月1日を「防災の日」とし、毎年全国的な訓練を実施する。また、前後1週間を防災週間と定め、都道府県別に訓練を実施する。当日は公共の交通手段がマヒしたと仮定して全閣僚が歩いて出勤する。

幼稚園の時から災害に備える要領を身につけさせる。会社でも義務的に毎年、消防訓練と避難訓練を行う。各都道府県は災害に備えてパンフレットを作り、住民に配布する。東京が発行した「東京防災」は300ページ以上なのに韓国語版まである。状況別、場所別の対処要領が詳しくあり、昨年の慶州(キョンジュ)地震後、韓国のネットユーザーの間で人気となった。

ただ、これまでは地震など災害への備えが中心で、北朝鮮のミサイル発射に対する内容は多くなかった。このため、日本政府は今年初め、北朝鮮のミサイル発射が続くと、テレビや新聞広告などを通じて避難要領をアナウンスした。各都道府県も訓練を実施した。日本政府によると、北朝鮮がミサイルを発射した際、外にいる場合はできるだけ頑丈な建物や地下に身を隠さなければならない。都心なら地下鉄か地下商店街などが適切な場所だ。

近くに建物がなければ、物陰に身を隠すか地面に伏せて頭を守らなければならない。室内にいるなら、窓から離れるか窓がない部屋に移動することを勧めている。近くにミサイルが落下した場合、生物化学兵器の可能性があるため、口と鼻をハンカチで押さえて現場から直ちに離れなければならない。室内なら、換気を止めて窓を閉め、室内を密閉状態にするのがいい。

しかし、今回の場合、政府の迅速な情報伝達にもかかわらず、実際に避難した住民は多くなかった。最初の警報から12分後、「日本の上空を通過した」という2回目の警報が出たためだ。できたことは、家の窓のそばから離れることぐらいだった。このため、翌日の新聞には、「いったいどこに避難しろというのか」、「田舎には頑丈な建物も地下道もない」など不満が溢れた。技術的な問題で警報が伝わらなかったケースもあった。消防庁は、「16の市町村でJアラートの伝達に支障があったという報告を受けた」と明らかにした。菅義偉官房長官は定例会見で、「訓練をさらに徹底させる」と述べた。



張源宰 peacechaos@donga.com