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「73歳の現役」チェリスト・鄭明和、平昌フェスティバルで開幕公演

「73歳の現役」チェリスト・鄭明和、平昌フェスティバルで開幕公演

Posted August. 11, 2017 08:55,   

Updated August. 11, 2017 09:54

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「これでこの曲は最後かなという気がすると、寂しいこともありますね」

「最後」という言葉を口にした時、氏の目元がしっとりとなった。これ以上言葉のいらない大韓民国の代表演奏者の一人であるチェリスト鄭明和(チョン・ミョンファ)(73)。彼女は笑みを浮かべながら、「十分やってきたと思う」と力説した。

9日、江原平昌(カンウォン・ピョンチャン)のアルペンシアで会った彼女は10日、「2017平昌スペシャルミュージック&アートフェスティバル」の開幕公演に出た後、すぐ出国して、ドイツのドレスデン音楽祭に参加する計画だ。年齢が顔負けするほど多忙な活動である。

「複数の祭りを回りながら多くの経験を積んできたためか、やりたいことも多くなります。もちろん年が年だけに活動の幅は広くなく、できることだけをやります。年齢に合わせてやらなければなりませんね」

70歳を超えて活動する演奏者の中でも、チェリストはとりわけ珍しい。特に海外公演を回りながら活動する女性チェリストは、三本の指に数えられるほどだ。

「自分の演奏が自分の基準を満たさなければやめたいと思います。最近、シューベルトを演奏した時、心の中で『シューベルトの演奏はこれが最後かな』と思いました。3、4年前から演奏する曲は、最後という気持ちで公演します」

2011年から芸術監督を務めている氏は、平昌大関嶺(テグァンリョン)音楽祭と、18日から20日まで江原平昌郡桂村里(ケチョンリ)で開かれる桂村村クラシックストリートフェスティバルへの愛情が多い。特に桂村村祭りはベネズエラで貧困層の子供たちに音楽教育を通じて社会の変化を追求した「エル・システマオーケストラ」の韓国型を追求している。

「貧困層の子供たちのためのエル・システマと出発点は異なるが、クラシックで社会の変化を追求することは同じです。村の子供たちが皆楽器を奏でながらオーケストラでハーモニーを成すのは特別ですね。この桂村村のようなモデルが全国に広がればいいですね」

弟の指揮者・鄭明勳(チョン・明勳)(64)とバイオリニスト鄭京和(チョン・ギョンファ)(69)は、氏の音楽と人生で欠かせない。弟たちの自慢をするとき、氏の目がとりわけ輝いた。

「京和とは、目つきだけを見ても何を考えているかがわかるほどです。明勳や京和とは、互いに励ましたり、自由に批評したりします。世界最高の演奏者でもある二人の弟を尊敬しています。母はどのようにしてこのような子供たちを産んだのか気になったりして…」

2011年、母を追悼した演奏が、彼ら「鄭トリオ」が共にした最後の公演だった。

「私がチェロを辞める前に是非一度はやりたいと思います。どこで演奏するか悩んでいます。コンサートを開くのは無理で、祭りのような場所で一曲くらい演奏するのは可能だと思います」

チェロを選んだことを一度も後悔したことはないという氏は、声楽を専攻したならメゾソプラノをしただろうと言いながら、自分の声の表現に最も適した楽器はチェロだと明らかにした。

「今まで生きてきながら、後悔したり、残念だったと思う瞬間はありませんでした。むしろ、私は祝福を受けて、これまで音楽をすることができました。多くのことをいただいただけに、若い音楽家たちを支援することが私の仕事です。そうしないと私は罰を受けます(笑)」



金東昱 creating@donga.com