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「騎士団長殺し」ブームの村上春樹氏、「歴史を白か黒かで判断するのは極めて危険」

「騎士団長殺し」ブームの村上春樹氏、「歴史を白か黒かで判断するのは極めて危険」

Posted July. 18, 2017 09:36,   

Updated July. 18, 2017 09:53

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「歴史の中から純粋な白と黒をわきまえることなどできないと思います。小説は、このような断片的思考に対抗するために存在するので、温かい言葉、生きている言葉を扱わなければなりません。そのためには、良識と常識が必要です」

新作長編小説「騎士団長殺し」(1、2巻)で突風を起こしている村上春樹(68・写真)は、歴史問題をめぐる対立についてこう語った。氏は、「騎士団長…」で、南京大虐殺、日本とナチスドイツとの同盟を扱って、日本右翼勢力から少なからぬ攻撃を受けた。春樹は、「人々は『白か黒か』で判断し、言葉を小石のように相手に投げかける。非常に悲しく危険なことだ」と指摘した。マスコミとのインタビューをしないことで有名な彼は、「騎士団長…」の出版社である「文学トンネ」と最近行った書面インタビューで、自分の考えを率直に明らかにした。

1979年に「風の歌を聞け」でデビューした春樹は、「最初は『小説のようなものはこれからいくらでも書ける』と考えていたが、今は『残りの人生の中で果たしてさらに何本小説を書くことができるだろうか』と考えるようになった」と語った。しかし、楽器を自由に演奏するように、書くことが相変わらず楽しいのは、昔も今も同じだという。

「1年半かけて『騎士団長…』を書きました。文がうまく進めば書き続け、書き終わるまでは休みません。別の構想をするのは邪魔になります。思いつくまま自然に書きますね。自由が最も重要です」

「騎士団長…」で主人公は、「自分が思った通りに行動すること、自分を信じること」についてよく吟味する。春樹自身もそうなのだろうか。「日常生活では、意見や信念がかなり確実な方です。ところが、根本的には自分自身を超越したところに存在する流れや力に素直に身を任せなければ、小説は書けないと信じています」

「騎士団長…」は、東日本大震災も取り上げて、治癒に向かって進む。社会的に大きなトラウマを残した災害が起こった後の文学の役割について尋ねた。彼は、「目的を持つものの、目的を凌ぐ試みをして、すべての人たちが共有できる何かを構築しなければならない」と強調した。

氏は、韓国読者に向けて、「30年間、変わらず私の作品を熱心に読んでいただき、いつも格別の感謝の気持ちを持っている」と語った。韓国訪問計画について尋ねると、「いつかその機会があればと思うが、正直、公的行事は好きではないので、招待を受ければ遠慮することになる」と遠回しに答えた。



孫曉林 aryssong@donga.com