ネットフリックスが560億ウォンの制作費を投資した奉俊昊(ポン・ジュンホ)監督の「オクジャ」が、マルチプレックス3社(CGV、ロッテシネマ、メガボックス)の「上映ボイコット」により、全国84の一般映画館(スクリーン108個)で公開された。そのおかげで、観客の記憶から忘れられていた中小映画館が、久しぶりに活気づいている。大韓(テハン)劇場と同様にオクジャの上映を開始したシネキューブ光化門(クァンファムン)の関係者は、「普段より2倍も多い観客が詰めかけてきた」と言い、「映画館の特性上、芸術映画を見に来る常連がほとんどだったが、今回の上映をきっかけに、さまざまな観客層ができることを期待している」と話した。
各映画館は、観客を取り付けるために様々なイベントや特別展を開くなど、苦労している。シネキューブ光化門は、公開日を最初から「オクジャデー」に決め、1館と2館で1日中「オクジャ」だけを上映することにした。ほとんどの映画館では、早朝映画を見る観客に対して、オクジャが描かれた扇子と付箋を配る「アーリーバード」イベントを行うなどした。
映画関連ネット上のコミュニティにも、オクジャを上映する「2%の映画館」(マルチプレックス除く映画館)の案内文と映画館別上映後記が掲載されている。とあるネットユーザーが作った「ソウル市内のオクジャ上映映画館の地図」は、約2000回のクリック件数を記録し、「マルチプレックス3社無しに初めて1000万人観客を達成する映画になってほしい」という書き込みは、1000件以上の推薦を受けた。
一般映画館は久しぶりの特需を享受しているが、一部からは不満の声も出ている。韓国独立映画協会のコ・ヨンジェ理事長は、前日ソーシャルネットワークサービス(SNS)に文を載せて 「『オクジャ』への関心は一ヶ月以上続くだろう。その分だけ、公開を控えている独立映画の上映時間は減るだろう」と懸念を示した。とある制作会社の関係者も同様に、「ネットフリックスの映画が今後もこのような形で公開するかは見守らなければ分からないが、それにより、なんとか残っている独立・芸術映画館すら奪われるのではないか心配だ」と伝えた。
一方、公開初日からファイル共有サイトに「オクジャ」が違法流通される出来事も起きた。ネットフリックス側は、「著作権侵害の通報内容に基づいて対応策を検討している」と明らかにした。同日、映画推薦サービス会社「ワッチャ」は、自社のビッグデータに基づいて「オクジャ」が正常にマルチプレックス映画館で公開されたなら、727万人程度の観客数を記録しただろうと発表した。
張善熙 sun10@donga.com